具体的には、家計調査の「食パン」の消費金額を消費数量で割ることによって求めた「食パン」の消費単価と、消費者物価指数の「食パン」の指数の推移を比較する。
これらはいずれも「食パン」の価格を示すものだが、家計調査の場合「食パン」に「普通の食パン」も「高級食パン」も含まれている一方、消費者物価指数は毎月一般的な商品を対象としており、「高級食パン」は含まれない。したがって、「高級食パン」の消費が増えれば両者は乖離すると考えられるが、実際に「高級食パン」ブームが始まった2018年以降の乖離が確認できた。
ここで、家計調査ベースの「食パン」の単価を、消費者物価指数の「食パン」の指数で割ることによって「高級食パン」の消費動向を示す指数を作成し、これを「高級食パン景気指数」と呼ぶことにする。
増税で冷えた消費マインドは今年の夏から回復
「高級食パン景気指数」の推移を見ると、「高級食パン」が市場で定着したとみられる2018年後半以降、おそらく米中貿易戦争の激化や消費税率引き上げの影響を背景に、指数は徐々に低下した。特に、消費税率引き上げの影響が顕在化した2019年10月以降はGoogle Trendsによる「高級食パン」の検索数が増え続けた一方で、「高級食パン景気指数」は低下していたことから、家計の節約志向はかなり強かったことが予想される。それに追い打ちをかけたのがコロナ禍である。「高級食パン景気指数」は100に近い水準まで低下した。
しかし、20年7月以降は上昇に転じており、コロナ禍の影響が残る中においても家計は「プチ贅沢」を再開している。現状では、家計の消費意欲は残っている状態といえよう。今後も「高級食パン景気指数」で変化をウォッチしたい。
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