牛乳パックの「なぜ」で伸ばせる子どもの創造力 「考える子」を育てるために大事な3ステップ

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実は筆者自身、その講演を聞いた後、牛乳パックのどの位置まで牛乳が入っているかを自分の目で確かめたくなり、実際に何本か購入して調べてみた。新しいパックを開けると、牛乳は上部の三角形の部分には入っておらず、直方体の部分に収まっていた。

筆者自身の物差しによる測定結果では、パック上部の高さ2cmの三角形部分より下を直方体と見なして、その体積を求めると、
7×7×19.5=955.5(立方cm)となる。

一応確認のため計量器に牛乳を全部入れてみると、牛乳は1000立方cmより少し多く入っていた。そこで、牛乳パックを上からよく見てみると、パックが横に少し膨らんでいることが確認できた。

「ふしぎだと思うことが『科学の芽』」

筆者は、1965年にノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎博士が残した「ふしぎだと思うこと、これが科学の芽です」という言葉をとても大切にしている。この言葉は牛乳パックの話題にもあてはまると思う。

そうしたことを『ふしぎな数のおはなし』(数研出版、2002年)に書いたのだが、いま述べた物差しによる測定結果をそのまま掲載してしまった。本来は製造業者に確認して、そのデータも入れるべきものであったと反省した。

その後、全国各地の小・中・高校で行った「出前授業」や教員研修会に行くと、この牛乳パックの話を質問されることがあり、そこでは7cm、7cm、19.5cmという寸法が公式データであるかのように独り歩きしていた。テレビ番組で取り上げられたときもそうだった。

それだけに、ある教員研修会で、生徒が測った別の寸法による説明を見せてもらったとき、ほっとしたことを思い出す。生きた題材による楽しい学びにおいては、生徒各自がデータを取って、堂々と発表してほしい。自分自身でも確かめる精神を持つことが、「ふしぎ」に思って行動する第一歩だと思う。

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