コロナで仕事失う人と何ともない人に映る格差 救済されず不満の蓄積と分断がもたらされる

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日本では、政府の援助に頼って生きたいと思う人はあまり多くいませんが、会社に依存したいと思っている人は、多数います。

私は、そうした日本社会の現状に対して、組織に頼らない生き方が必要だと考え、独立してフリーランサーになって働くことが重要だと述べ続けてきました。

自分の能力を信じて、独立して働ける社会を作りたい。インターネットなどの新しい情報手段が、そのような働き方を可能にしている、他方で、人生100年時代においては、会社だけに頼って生きることは不可能だ、と述べてきました。

しかし、これまで見たように、コロナ禍において、最も大きな打撃を受けたのはこの人たちです。

私がこれまで望ましいと考えていた働き方が、コロナによって無惨に打ち砕かれてしまったことを認めざるをえません。

政治への不満と社会の分断

しかも、これらの人たちがどれだけいるのか、そしてコロナでどれだけの影響を受けたのか、どちらも正確なことはわかりません。

これらの人々は、雇用されていないので、雇用契約で守られていません。

政府の援助がそうした人々に届いているのかどうかにも、疑問があります。雇用調整助成金では救われず、また、必ずしも業務委託契約を結んでいるわけではないので、持続化給付金においても、必要書類をそろえられない場合が多いと思われます。

GoToキャンペーンも、消費者と宿泊業や飲食サービス業の大企業には利益をもたらしたとは考えられますが、これらの業種の零細企業にどれだけの恩恵をもたらしたかは、疑問です。

つまり、非正規雇用者とともに、これらの人々が、救済の仕組みからもれてしまっています。

このため、政治に対する不満が生じています。そして、社会の分断がもたらされています。

この構造は、コロナが収束した後においても残るでしょう。

野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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