解雇されるリスクは、以下の3点にみるように、雇用形態、企業規模、そして業種によって大きく違います。
第1に雇用形態によって違います。
労働力調査によれば、正規従業員の総数は、2019年11月の3526万人から2020年11月の3547万人へと若干増えています。
それに対して、非正規従業員数は、2019年11月の2186万人から2020年11月の2124万人に減少しています。
非正規従業員数は、昨年7月に2043万人まで落ち込んだあと回復してきたのですが、それでも一昨年に比べれば、このように減少しています。企業は、非正規雇用者を調整弁に使っているのです。
正社員であれば安全ということは、これまでも言われてきたことですが、それがコロナ下で拡大した形で現れています。
職を失った非正規従業員は非労働力人口になった場合が多いと考えられるため、失業率が目立って上昇しません。
したがって、雇用者総数や失業率だけでは、現在の雇用状況の的確な把握ができません。
解雇されるリスクは、一部の業種と零細企業で高い
解雇されるリスクは、第2に、業種によって差があります。
法人企業統計調査によると、2020年7~9月期における人員の対前年同月比減少率は、全産業では2.9%です。
ところが、宿泊業では30.3%、生活関連サービス業(集約)では21.7%、娯楽業では30.8%と、桁外れに高い値になっています。
解雇されるリスクは、第3に、企業規模によって差があります。
法人企業統計調査によると、2020年7~9月期における人員の対前年同月比減少率は、資本金10億円以上の企業(「大企業」と呼ぶことにします)では1.7%でしかないのに対して、資本金1000万円以上~2000万円未満の企業(「零細企業」と呼ぶことにします)では、6.8%となっています(注1)。
(注1)法人企業統計調査と労働力調査では、休業者の扱いが違うので、法人企業統計調査による「人員数」(あるいは「従業員数」)の動向と、労働力調査における雇用者数の動向は、必ずしも整合的ではありません。
宿泊業の零細企業では、減少率が実に64.4%にもなっています。
業種別、企業規模別の差は、非正規雇用者の多さと関連していると思われます。つまり、減少率が大きい業種と規模の小さい企業では、非正規雇用者が多いのでしょう。
以上をまとめると、大企業の正規従業員なら、(航空会社等を除いては)まず心配はないといえます。
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