コロナで仕事失う人と何ともない人に映る格差

救済されず不満の蓄積と分断がもたらされる

もともと、大組織は変動に対して強いのですが、そのことがコロナ禍において明確に表れています。

問題が深刻なのは、サービス産業における零細企業なのです。

これらの分野での雇用者のかなりが雇用調整助成金によって支えられています。

昨年末での支給決定件数は217万件となっています。現在の特例措置は2月末までは継続することとされていますが、政府は12月8日に閣議決定した「総合経済対策」において、3月以降は特例措置を縮減するとしています。

以上で見たのは雇用者です。このほかに、事業主とフリーランサーがいます。

賃金があまり大きく低下していない半面で、企業の利益は大きく減少しています。法人企業統計調査によれば、全産業、全規模での営業利益は、2020年7〜9月期において、対前年同月比で、39.0%減少しています。

利益が減少しても、大企業の場合には、資金繰りさえつけば、経営者も従業員も、これまでとあまり大きく変わらない報酬を受け続けることができます。

しかし、零細企業の場合には、営業利益は事業主の所得と同じような意味を持っています。つまり、営業利益の減少が、直ちに生活に影響することになるでしょう。

営業利益の状況は、業種別、企業規模別に大きな差があります。

宿泊・飲食・娯楽の零細企業の落ち込みが大きい

宿泊業、飲食業、娯楽業で大きく減少しています。そして、大企業より零細企業における落ち込みが激しくなっています。

法人企業統計によれば、2020年7~9月期における営業利益の対前年同月減少率は、陸運業が122.2%、宿泊業が320.5%、飲食サービス業が320.1%、生活関連サービス業が617.9%、娯楽業が110.5%などとなっています。減少率が100%を超えているのは、2020年7~9月期の営業利益が赤字になっていることを示しています。

そして、これらの多くの業種で、規模の小さい企業の減少率が、規模の大きい企業の減少率より大きくなっています。

こうした分野での事業主の生活は、危機的な状態になっているでしょう。

さらに、個人事業主と家族従業員、そして、フリーランサーがいます。

ただし、これについての現状は、よくわかりません。

これらの人々の状況を推測するには、法人企業統計における零細企業の営業利益が参考になります。先に述べた業種で営業利益が大きく落ち込んで赤字になっていることから推察すると、これらの業種の自営業やフリーランサーが大きな打撃を受けていると推測されます。

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