「新入社員が使えない」の愚痴が今も昔も続く訳 世代論はどんな指摘もだれかに当てはまる

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さて、戦前派による新人評をうかがいましょう。

しかればすぐ弁解、注意すれば口答え、仕事もせずにヘ理屈いう。先輩・上司を〇〇チャンとかあだ名で呼ぶヤツまでいる……いまの若いものは、なってない!

まだ25、26歳の先輩からも、「いまの若いのはまるっきり仕事をする気がないんだね。世の中そんなに甘くないよ」といわれる始末。

それに対する新人の弁。「なんにもわかっちゃいないんだから。人間としたら対等ですよ。うっかり甘い顔をしてたら、タバコの使い走りまでさせられちまう」

1965年の『週刊サンケイ』(8・2)でも、先輩OLが今年の新人はナマイキとおかんむり。先輩に敬語を使わず、ねえちゃんなどと呼ぶ。バアサンと呼ばれたのでさすがにアタマに来て、「なんだよ、ぼうや」と返事したら、たじろいでおとなしくなったとか。

ナマイキだけど漢字が書けず、常識知らない、上司からちょっとシゴかれただけでさっさと辞める。3カ月でくしの歯が欠けたように何人もいなくなった。

1967年の『週刊現代』(3・16)は、昭和フタ桁生まれ20代社員というくくりで特徴をまとめています。権利意識は高いが義務感が希薄。理解力はあるが創造性がない。身体は大きいが体力がない。与えられた仕事しかやらない。しかると女の子みたいにふくれる。おそろしく教養が浅い。

一流企業の入社式に親がついてくる

1968年には、いよいよ昭和20年生まれ、純粋戦後派が入社します。有名人では長塚京三さん、タモリさん。

彼らに貼られたレッテルは、「過保護」「甘ったれママゴン息子」(『週刊サンケイ』1968・4・22)。一流企業の入社式に、呼んでもいないのに親(大半は母親)がついてきます。幼稚園・小学校から入学・卒業式に参加するのがあたりまえだったから、入社式もその延長と考えるママが増えたのだとか。

国家公務員の合同研修会でも、泊まり込みだと母にいってこなかったから帰らせてください、ママがカゼをひいているので家に帰りたい、などというのがいて、総理府や人事院のスタッフも呆れ顔。

東大・一橋・早稲田と名だたる一流校から採用した三菱商事の人事担当も「昔は大学出ればりっぱなおとなと思ってきたが、これからは小学生の集団と思ってやる」と腹をくくったご様子。このときの甘ったれ新入社員もいまや、71歳になってらっしゃる。

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