「新入社員が使えない」の愚痴が今も昔も続く訳

世代論はどんな指摘もだれかに当てはまる

1990(平成2)年に発表された電通のレポートで、これからの消費は、高級品を買える金銭的ゆとりのある高齢者世代によって支えられることになるだろうと指摘されました。

これを受けて新聞雑誌は1990年代から2000年代前半まで、おもに金持ち高齢者のことをゆとり世代と呼んでいたのです。

2003年の朝日新聞(6・29埼玉)記事での使用例。埼玉の公民館に、新宿の歌声喫茶で活動している歌手が歌の出前をしているというネタで、歌声喫茶全盛期の若者が今60代のゆとり世代になって、仲間と何かやりたいと思っている、と参加者の1人がコメントしています。

こんな例はいかがでしょう。某銀行のおエラいさんが雑誌記者の取材に答え、新入社員を総括したコメント。「ことしはいってきた人たちを見ていますと、なにか、さとり切ったような人が多いんですよ。……未完成で荒けずり、失敗もするかもしれないが、なにかやってくれるのではないだろうか、というような楽しめる人間というのが少なくなりましたね」

これ、1972(昭和47)年の『サンデー毎日』(4・23)に掲載されたものなんですが、今年のコメントだとしても、じゅうぶん通用しますよね。驚くべきは40年以上も前に、さとり世代が登場していたこと。このときの新入社員は2017年現在60代半ばなので、すでに定年を迎えたか、あるいは企業のトップに君臨しているかもしれません。

彼らこそが、時代を先取りした元祖さとり世代だったとは!そしてなんの因果か、彼らの孫世代が、いままさに二代目さとり世代を襲名し、新入社員として企業に入りはじめているのです。

ややこしくなったので、ここまでの調査結果をまとめます。今の20代がゆとり世代で、20代前半がさとり世代。70代の人たちは10年前までゆとり世代と呼ばれてて、今60代の人たちが元祖さとり世代……。

戦後の新入社員は「ナマイキ」だった

ここからは戦後の新入社員について見ていきましよう。まずは終戦翌年に小学校に入学して新制教育で育った世代が1962年、新入社員となりました。有名人でいうと王貞治さん、篠山紀信さん、麻生太郎さんなどがこの世代。

新人入社を報じた『週刊読売』(1962・4・29)の記事タイトルが「ことしの新人はナマイキだ」。なにがナマイキって、大蔵省の新人歓迎会で事務次官のあいさつにヤジを飛ばす前代未聞の猛者があらわれ、先輩官僚は、ただただ、ぼう然。

次ページしかればすぐ弁解、注意すれば口答え
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