都会から「地方に転職したい」人が知るべきこと 願望どまりから一歩踏み出せる環境は整うか

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ただ、こうした実例が多数あるわけではありません。興味はあるけど決断まではつながらないのが実態でした。

システム会社に勤務しているSさん(26歳)は海でサーフィンすることが生きがい。週末はいい波を求めて車で遠方まで大移動。夏休みには海辺のコテージを借りて、終日サーフィン。いっそ、大きな波がある地方に住んでもいいのでは?と考えたことが何回もあったようですが、地方の会社に転職を決断するまでには至っていません。

地方転職の関心が決断にはつながらない。そこには、思う以上に大きな“障壁”があります。

それは地方には、20代会社員の受け皿となるような企業の求人が少ないことです。もっというと、都会との物価の違いを鑑みて、同等の生活レベルが維持できる求人が少ない。

例えば、東京で商社に勤務している20代中盤の社員。450万くらいの年収だとして、物価の違いで300万円台中盤の求人を探しても見当たりません。

これまでのキャリアを活かせる職が地方にあるか

さらに(この点が大きな問題と言えますが)都会で働いた20代が、これまでの経験を活かせる求人が“壊滅的”といっていいほどありません。IT、メディア、外資系企業、あるいはエンジニア、マーケティングなどの職種だと地方勤務で経験を活かせる求人を探すことはなかなかに困難と思われます。

お話を聞いた広告代理店勤務の20代のDさんも、コロナでリモートワークが増えたことが自分の将来を見直す機会になり、地方で働くことを考え始めていました。旅行で訪れた観光地に惹かれ、地域の活性化に貢献したいとの願望が生まれたようです。

そこで、転職活動を開始して履歴書を作成して転職エージェントに地方勤務を前提に転職先を探してもらったのですが、なんと、1つも転職できそうな先が見つかりませんでした。都内で同業への転職やメーカーのマーケティング部門への転職を希望すれば山のような求人があることはわかったのですが、それなら転職までする必要はないと感じたそうです。その後も、継続的に地方勤務の転職先を探しているようですが、まだ見つかりません。

このように都会で勤務した経験と地方勤務をつなげる求人は少ないのが実情です。だとすれば、コロナを機会に地方勤務を希望する20代が増えても、決断できないことになります。でも、それでいいのでしょうか?

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