ハリウッドから「中国が悪者」の映画が消えた訳 逆にどんどん増える「中国人が大活躍」の映画

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中国は映画産業でも多大な影響を与え始めている(写真:urf/iStock)
漫画やアニメなど「コンテンツ」の供給者として、世界でも存在感を見せる日本。
ハリウッドでトム・クルーズ主演のSF大作『オール・ユー・ニード・イズ・キル』をプロデュースした福原秀己氏は、「現代はコンテンツが世界経済を動かす時代」「2030年、日本は工業製品ではなくコンテンツの輸出大国になる」と言います。

本稿では、福原氏の新著『2030「文化GDP」世界1位の日本』から一部抜粋しお届けします。

「中国=悪役」が消えたハリウッド

中国は、世界の映画産業における圧倒的存在感を背景に、ついに映画の内容においても相当な影響を与え始めている。

「24 TWENTY FOUR」というアメリカのテレビドラマシリーズをご覧になった方は多いだろう。架空のテロ対策ユニット(CTU)の敏腕捜査官ジャック・バウアーが、テロ組織をタイムリミット24時間の間に追い詰めるという、不死身のヒーローもの、ハードボイルドだ。2001年の9.11同時多発テロ直後の11月から放送が始まり、アメリカだけでなく全世界で大ヒットし、2010年までに8シーズンが放映された。

8シーズンにもわたって作品の新鮮味と迫力を維持する秘訣は、ヒーロー側ではなく、テロ集団である敵役(悪役)側にある。ヒーローの設定や性格はシーズンごとに変えられないが、敵役は自在である。面白い映画やドラマは、つねに敵役がユニークで凶悪だ。そして、シーズンを追うごとに巨悪化していくものだ。『バットマン』シリーズを支えているのは、バットマンではなく、ジョーカーである。

さて、「24」シーズン1のヒール(悪役)は、ジャックと同じバックグラウンドを持つ「コケイジャン(白人)」である。以降のヒール(悪役)は、シーズン2「アラブ人」、シーズン3「ヒスパニック」、シーズン4「中国人」、シーズン5「ロシア人」、そしてシーズン6は再び「中国人」である。

シーズンを追うごとにヒールは巨悪化していき、チャイニーズマフィアが、シリーズ6で史上最強のヒールとして登場したのが2007年である。
そして筆者の記憶の限りでは、この2007年をもって、中国がヒールの映画やドラマは、ハリウッドから消えた……。

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