自民と公明、「衆院広島3区」で異例の対立のわけ 河井被告の後任候補で苦悩を深める岸田氏
自民広島県連は、11月に河井氏に代わる同区の公認候補となる新支部長選任のための公募を始めたが、その間隙を突くように公明党が11月19日に斉藤氏の擁立を決定。すぐさま山口那津男代表が菅義偉首相や二階俊博自民党幹事長に協力を要請した。
一方、自民県連は12月8日に公募者の中から石橋氏を選び、9日に県連会長の宮沢洋一元経済産業相が党本部で二階氏と山口泰明選対委員長と会談、与党としての石橋氏一本化を要請した。
公明の斉藤氏擁立は「自民議員が買収事件を起こした選挙区では、後任の自民候補は応援できない」(幹部)のが理由。擁立決定を受けて斉藤氏も直ちに選挙区回りを始めるなど、党を挙げての選挙態勢づくりを進めている。
菅、二階両氏と岸田氏の「微妙な関係」
対する自民県連は「選挙区に出さない選択肢はありえない」(幹部)と、石橋氏での候補一本化を譲らない。ただ、県連会長の宮沢氏は岸田氏の従兄弟であり、「最終的には岸田氏が決断するしかない」(自民幹部)との見方が多い。
しかし、公明側は岸田氏が斉藤氏での一本化に反対すれば、「他選挙区の岸田派候補の支援は拒否する」と脅しをかけたとされる。岸田氏周辺でも「党本部裁定しかない」との声が広がっている。
そこで問題となるのが、最終的な公認決定権限をもつ菅首相(自民党総裁)、二階幹事長の両氏と岸田氏との関係だ。安倍晋三前首相の突然の退陣表明を受けた後継レースでは、岸田氏に批判的な二階氏の主導で菅政権が実現し、菅首相も党・内閣人事で岸田氏を無役に追いやった経緯がある。
今回の公明党の斉藤氏擁立について、菅首相や二階氏は「特に異論を唱えなかった」(自民幹部)とされ、候補者調整の責任者の山口選対委員長も、9日の宮沢氏の要請に「党幹部でよく相談したい」とあいまいな態度に終始した。
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