格闘家、起業…野球「元ドラフト1位」の波乱人生 戦力外から11年、古木克明が語る今の思い
この学校で何を学んだのか? そんな問いを投げかけると、古木は「モテたい」という言葉を使って説明してくれた。
「ゼミの先生から教わったのは、『モテたい』という感情が大事なんだということでした。若い頃は、『女の子にモテたい』という思いがモチベーションでもいいと思うんです。僕だって、そう思っていましたから。
でも、ゼミの先生から教わったのは、『なにも異性だけではなく、社会からモテるという考え方もあるんだよ』ということでした。それは僕にとって、忘れられない言葉になりました」
それまで、淡々としゃべっていた古木の言葉に勢いが生まれる。
「例えば、プロ野球選手として活躍することで、子どもたちに夢を与えてモテること。例えば、病院施設を支援することで、病気に苦しむ方からモテること。いろいろなモテ方があると教えてもらいました。そこで改めて、『自分は誰にモテたいのだろう?』と考えることから次のステップが始まったんです。そして僕は、『子どもたちにモテたい』と考えました」
「ムカつく」ところにビジネスチャンスがある
さらに古木は「ムカつく」という言葉の持つ意味にも感化されたと語る。
「『ムカつく』という言葉がありますよね。先生によると、『ムカつくのは、そこに不満があるからだ』と言うんです。そして、『そのムカつきを改善すれば、そこにビジネスチャンスはある』ということでした。これもすごく影響を受けた言葉となりました」
再び、古木の自問自答が始まる。自分はどんなことに対して「ムカつく」のか? たどり着いたのが、一度は離れることを決めた「野球」だった。
「僕は子どもの頃、野球が大好きでした。『清原和博さんみたいになりたい』という思いで、野球を楽しんでいました。でもその後、野球が嫌いになっていきました。それは指導者から理不尽に怒られることや、自分からやっているのではなく、やらされている練習もあって、野球がつまらなくなっていったからです。
つまり、僕はそういうことにムカついていたんです。だから、そこには事業のヒントがあるかもしれない。大学院での勉強を通じて、そう考えるようになったんです」