格闘家、起業…野球「元ドラフト1位」の波乱人生 戦力外から11年、古木克明が語る今の思い

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頭ごなしに命令してくる旧態依然とした指導者たちに対するいら立ち。そんな「ムカつく」感情に、「子どもたちにモテたい」というもう1つの思いがミックスされた瞬間、それが古木にとっての本当の転機となった。

「そして、サッカーやサーフィンは自由でカッコいいのに、野球がダサダサなことにもムカついていました。ならば、そこも変えていこう。そんな思いが芽生えてきたんです」

こうして古木は、かつて自分が嫌悪していた「子どもを奴隷のように扱うような指導」を徹底的に排除する自身の野球教室を展開する。さらに、「野球をもっと楽しく格好良く」の思いとともに、新たなアパレルブランド「The Baseball Surfer」を立ち上げる。迷走を続けていた苦難の時期が、ようやく終わろうとしていた。

新たな「古木ブランド」を構築する日々

この期間の古木の試行錯誤は、折に触れて『プロ野球戦力外通告』『バース・デイ』を通じて視聴者に届けられていた。何度トライアウトを受けても結果が伴わないこと、生活が苦しかったためアルバイト生活を続けていたこと、離婚と再婚を経験したこと、そして現在、野球教室とアパレルメーカーの二足の草鞋(わらじ)を履いて奮闘を続けていること……。

生活が苦しいときも、テレビの密着取材を受けていた(写真:TBSテレビ)

それはまるで、国民全体で「古木克明」という一人の男の大河ドラマを現在進行形で見ているようなものだった。

悪戦苦闘の続く日々。テレビカメラの密着に対して、本人はどんな感情を抱いているのか? その答えは意外なものだった。

「テレビで追いかけてもらっていることは本当に嬉しいです……」

続く言葉を待った。

「……TBSの『バース・デイ』班の方々には本当に感謝しています。まだ、僕自身がきちんと結果を出せていないので、スタッフのみなさんに報いることができていないのが申し訳ないなという思いです。格闘技を辞めて野球に再チャレンジするときに、番組出演が決まる前からすぐにカメラを出して密着してくれました。そういう方々に、『古木、やったな!』って言われるようになりたい。そんな思いは強くあります」

番組では、現役時代に結婚した前妻と離婚したこと、その際に長女と離れ離れになってしまったことも放送された。

「プライバシーが明らかにされることに抵抗はないのですか?」と尋ねると、その心境を、改めて古木が語る。

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