格闘家、起業…野球「元ドラフト1位」の波乱人生

戦力外から11年、古木克明が語る今の思い

2009年に戦力外通告を受けた古木克明。紆余曲折を経て、アパレルで起業した(写真:TBSテレビ)
華やかなプロ野球の世界。活躍した選手には名誉と莫大な報酬がもたらされる一方で、競争に敗れ、表舞台から去りゆく選手がいる。そんな「戦力外通告」を受けた選手をドキュメンタリーで描いてきたのが、TBSテレビの『プロ野球戦力外通告』だ。
12月29日(火)夜11時10分からの放送回で通算17回目を迎えるこのシリーズ。プロ野球選手の姿は特別ではなく、誰の身にも起こりうる『究極のリアル』でもある。放送を控え、過去の番組に関わるサイドストーリーを取材班が5回にわたってリポートする。
第1回は古木克明(ふるき・かつあき)。1998年、横浜ベイスターズにドラフト1位で指名され入団。2007年オフに交換トレードでオリックス・バファローズに移籍。2009年オフに戦力外通告を受けた。その後、格闘家、野球への再挑戦を経て、新たな道を歩んでいる。古木の今を追った。

「古木ブランド」を失う怖さと過ごした30代

波乱万丈の30代だった――。30歳になった頃は格闘家として、日の当たらない地下道場でスパーリングに汗を流す日々を送っていた。33歳のときにはハワイで野球選手として白球を追いかけていた。

30代半ばになると、一転して大学院で事業構想を学ぶ学生となった。そして、つい先月40代を迎えたばかりの古木克明は、巧みにミシンを操りながら、自身が立ち上げたアパレルブランド「The Baseball Surfer」のTシャツ縫製に励んでいる。

1999年に横浜ベイスターズにドラフト1位で入団した古木。「松坂世代」の1人だ(写真:TBSテレビ)

「野球しかやってこなかった人生だったので、次に何をすればいいのかがまったくわかりませんでした。正直言えば、戦力外通告を受けたその後の人生が怖くて仕方がなかった。どうやってお金を稼げばいいのか、どうやって生きていけばいいのか? そんなことばかり考えていました」

2009年オフ、当時在籍していたオリックス・バファローズから戦力外通告を受けた。29歳になる直前のことだった。

そんな折に「格闘技をやってみないか?」という誘いを受けた。まったくの未経験ながら「四角いジャングル」と称されるリングに飛び込んだのは、古木の心の奥底に潜んでいた「怖さ」からだった。

「野球を辞めて、いきなり格闘技の世界に飛び込むことについて、世間の人たちからいろいろ言われたけど、まったく気になりませんでした。ただ、当時の僕が気にしていたのは野球を辞めてしまったことで、せっかくの『古木克明というブランド』を失ってしまうことでした。それはとても怖いことでした。そのブランドをどう継続させ、輝かせていけばいいのか。そんなことを考えて、格闘技の世界を目指したんです」

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