Aaaの政府格付けは回復の足取りが弱い中でも安定した位置づけにある《ムーディーズの業界分析》
セクターアウトルック:日本の県、政令指定都市
財政運営は厳しいが、格付けへの影響は限定的
丹羽 由夏
日本の県、および政令指定都市の見通しは安定的である。これは安定的な日本国債の見通しに一致している。この見通しは、同セクターにおける今後12~18カ月のムーディーズのファンダメンタルな信用状況に対する見方を示すものである。
日本の地方自治体は、景気悪化による地方税の減収等により、厳しい財政運営を余儀なくされているが、中央政府からの支援的政策により緩和されている。
また、中央政府との強い結びつきと日本のリスクの社会化という固有の歴史は、引き続き、格付けを付与しているすべての日本の県および政令指定都市のAa2という格付け、および安定的な見通しを支えている。地方への中央政府の強力な支援的姿勢は、昨年12月の経済対策「明日の安心と成長のための緊急経済対策」において、国費7.2兆円の最も大きな部分が地方支援に充てられたことにも示されている。
景気悪化による税収減によって、地方自治体の債務負担度は、今後数年緩やかに上昇すると考えているが、地方自治体のクレジットへの影響は、中央政府の追加的支援政策の動員や、強固な地方財政を監視する仕組みの堅持により、緩和されている。
ムーディーズの地方自治体の格付け手法における主要な要素の一つである、地方自治体のベースライン信用力評価(BCA)は、現在格付けを付与している日本の県、政令指定都市の場合、4または5であり、全ての都道府県および政令指定都市のBCAは、引き続き3~6の狭い範囲に収まると考えている。