Aaaの政府格付けは回復の足取りが弱い中でも安定した位置づけにある《ムーディーズの業界分析》

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ドイツ
当初Aaa領域の高位置にあったため、債務負担能力を極端に拡大せずに、危機の影響を吸収できた

東西ドイツ統一という課題を抱えていたドイツの経済・財政当局は、1990年代半ばに大規模な調整を実施済みであった。そのため、今日のドイツ経済は、民間セクターの高い負債比率と、過度に膨張した金融/建設セクターの崩壊によって、経済が深刻な打撃を受けた他の多くのEU諸国に比べ、景気回復力は強いとみられる。深刻な打撃を受けたEU諸国の場合、以前は追い風であった要因が、現在は激しい向かい風に変わったといえよう。ドイツ国内経済には負債比率の上昇による歪みが生じていないため、(民間セクターの)債務削減を通した、成長を阻害するレバレッジ引き下げを行う必要がない。しかし、銀行のバランスシートの修復が、より力強い回復の潜在的な足かせとなっている。

公的債務が増大し、今後数年間の経済成長は小幅にとどまるとみられる中で、他の多くの国と同様、ドイツでも政府の債務負担能力が試されるだろう。債務/歳入比率と利払い費/歳入比率が示すように、ドイツ政府の債務負担は支払い能力から見て、今後も比較的低い水準で推移するとムーディーズは予想している。さらに、ドイツ政府の債務はベンチマークとして用いられることを一因として、政府債務がさらに増加するというシナリオでも、債務負担能力は比較的高い水準で維持されている。

実際、世界の他の多くの国と同様、グローバルな危機に対応するコストは多額に上り、その大部分は公共セクターが吸収することになろう。新規借り入れ、小幅な経済成長、多大なコストを要する金融・経済安定化施策を要因として、ドイツの政府債務は急増し、11年までにGDPの80%に達するとみられる。

スペイン
スペインは財政余地を景気対策に振り向けたが、Aaa格付けは疑問視されていない

スペインの債務負担能力はすでに大幅に低下しており、一段の低下が見込まれる。これによって、同国の格付けはAaa/Aaの境界に近づくことになり、格付けの再評価につながる可能性がある。債務負担能力の低下は、同国が世界金融危機に巻き込まれた時点で政府の債務指標は良好な水準にあったものの、それまでに生成した財政余地の大部分を景気対策に用いたために、大幅な財政赤字に陥ったことを反映している。債務負担能力はAaaとAaの境界に近づきつつあるが、最も可能性の高い見通しに基づいた場合、この境界線を割り込むことはないとムーディーズは考えている。

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