無気力な子の親に多い「やる気を奪う」声かけ 親に必要なのは「適切な声かけ」と「見守る姿勢」

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子どもの人生は子どものものです。親の考えを押し付けると、必ずどこかにひずみが出ます。成長することよりも、愚痴を吐き出すことに一生懸命になっている子を、何人も見てきました。無理強いは厳に慎みましょう。

子どもの「内発的動機」をくすぐってみよう

監督に「ダッシュを20本やれ」と言われたらやるけれど、自発的にやることはない。「明日テストなんだからやりなさい」と親に言われるとようやく取りかかる。そんな受け身タイプの子どもを心配している親御さんもいるでしょう。

言われればやることはやるのですが、やはり自分で考え、自発的に動かなければ成長につながりません。人間が目標に向かって行動を起こす動機には2種類あります。外発的動機と内発的動機です。

前者は「規則や強制、名誉、他人の評価、それをしなければならない」など、外圧によってもたらされるモチベーションです。後者は、「好奇心や興味、それが好き、それがしたい」という自分の内側から湧き上がってくるモチベーションです。

外発的動機では、周りの評価を得ることが目的になっています。行動してほめられるとモチベーションは高まりますが、本心からやりたいことではないので、すぐに冷めてしまいます。再び誰かに「やれ」と言われなければ、やる気になりません。自分でモチベーションを上げられなくなるのです。

一方、内発的動機は、本人自身のやりたいという欲求に支えられており、他人の評価はどうでもいいのです。行動そのものを純粋に楽しめるので、目標達成までモチベーションが持続します。壁にぶつかっても、なんとか自分で乗り越えようとします。それもまた楽しみの1つなのです。こうして目標を達成すると、さらにレベルの高い課題に挑戦したくなり、どんどん成長していきます。

このように、本人自身が好きだったり興味があることであれば、意欲的になれるのです。ですから、こう尋ねてみましょう。

「何ができたらワクワクするかな?」

「ぼくは昆虫に興味があって、カブトムシを育ててみたいんだ」

『脳科学×心理学 うちの子のやる気スイッチを押す方法、教えてください!』(かんき出版)。書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

などと子どもが答えたら、「じゃあ、山に採りにいこうか。カブトムシの幼虫を一緒に育ててみようか」と興味に寄り添ってあげてください。自分が昆虫が苦手だからといって、「カブトムシなんて嫌い」と言ってしまうと、子どもの意欲は一気にしぼんでしまいます。もし苦手だったとしても胸のうちにしまって、表には出さないようにしましょう。

いちばんいいのは、親御さん自身も楽しみながら、子どもの好奇心の芽を大切に育てることです。

外発的動機による行動は長続きしませんが、内発的動機による行動は子どもを成長させます。親は、子どもの興味に寄り添い、一緒に楽しむ姿勢を見せて上げてください。きっと徐々に子どもも変わっていくでしょう。

鈴木 颯人 スポーツメンタルコーチ、Re-Departure合同会社代表、一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会代表理事

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すずき はやと / Hayato Suzuki

1983年、イギリス生まれの東京育ち。自身の経験をもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮させるメソッドを構築。スポーツメンタルコーチとして、これまで1万人以上のスポーツ選手を指導してきた。また、保護者や指導者、先生を対象に、メンタルコーチングも教えている。14万人以上のTwitterフォロワー、1万9000人以上のFacebookフォロワーを持つ。著書に『科学×心理学 うちの子のやる気スイッチを押す方法、教えてください!』(かんき出版)、『一流をめざすメンタル術』(三五館)などがある。

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