外国人の人権は無視?知られざる「入管」の実態 2019年にはハンガーストライキによる餓死者も

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動態調査とは、仮放免を認められた人たちが何をしているか、仕事はしていないか(※仮放免中に働くことは禁じられている)、届け出た住所に暮らしているかといったことを入管職員が調査すること。どこかに出かける際も、事前に届け出をしなければないように、彼らは入管の監視下に置かれている。

「この秋の臨時国会での提出は見送られましたが、来年の通常国会で、与党は退去強制拒否罪(送還忌避罪)、仮放免逃亡罪などを出してくるでしょう。外国人問題に関わっている弁護士や私たちのような市民団体も、送還忌避や逃亡をほう助していると言わんばかりの法案を提案してくる可能性もあります。

入管はかなりひどい状況を生み出すのではないか。そんな懸念はありますが、こちらとしては、それに抗して頑張らなきゃなというところです」

「普通じゃ考えられないことが行われている」

仮放免の審査条件が厳しくなり、長期収容者が増える中、収容所で起きた大きな事件の一つが、2019年のハンスト(ハンガーストライキ)だった。

「5月にイラン人が始めたハンストが牛久入管以外にも広がって、長崎県の大村入国管理センターでは餓死者まで出てしまいました。ただ、2019年ほど多くの人が長期にわたっておこなうことはなかったものの、それ以前にも収容者はハンストをおこなっています。なぜそこまでするのか。それは彼らにとって、収容は不本意なことだからです。

「彼らには、法務省や入管のやり方は、理解も納得もできない」(塚田恭子撮影)

例えば、何か法に触れることをしてしまい、刑務所に収監されている間にビザが切れる人、永住権を取り上げられてしまう人がいます。日本人であれば、刑期を終えれば、晴れて外に出られますが、刑期中にビザが切れてしまった外国人は、刑期を終えるとそのまま牛久での収容が継続されます。普通じゃ考えられないことです。

正規のビザを更新できず、超過滞在になった人たちが、人手不足の仕事場で働いていて摘発されても、”自分はただ働いているだけで悪いことはしていない”というのが彼らの実感なんです。

技能実習生として来日後、働きだした職場があまりにもひどい会社で逃げて、別のところで働いていて摘発された人、成田に上陸して難民申請したけれど、そのまま2年間収容されている人。こういう人たちはたくさんいますが、彼らには、法務省や入管のやり方は、理解も納得もできないわけです。

それでも日本は『全件収容主義』を取っているため、収容され、あくまで退去を拒めば、退去強制令書が出てしまう。大変なことだと思います」

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