不法入国者が収容される現場の「壮絶な実態」 収容期間は長い人で4年超、医療面での問題も
長い人で4年以上、いつまで続くかわからないまま収容され、家族にも会えず、不安やストレスにさらされている――。
長崎県大村市にある大村入国管理センターで、不法残留や不法入国などで退去強制を受けた外国人が期限の定めなく長期間収容されている問題について、日本弁護士連合会(日弁連)は2019年11月、出入国在留管理庁と同センターの所長に対して収容をただちにやめるよう求める勧告書を出した。
外国人の収容をめぐっては2019年6月に、大村入国管理センターでハンガーストライキを続けていた40歳代のナイジェリア人男性が餓死する事件が起きた。一方、出入国在留管理庁は2019年10月から「収容・送還に関する専門部会」を立ち上げ、送還を忌避している外国人の収容や送還のあり方について議論を続けている。
しかし、日弁連の調査によると、大村入国管理センターで人権救済を求めた37人の外国人男性らは、最も短い人で262日間、最長で1575日間、同センターに収容されている(2019年8月1日時点)。そして、鬱病やストレスと思われる皮膚病や不眠に悩まされ、十分な医療を受けられず、「外に出たい。この状態がいつまで続くのか終わりが見えない」「強制送還にするのか、出すのかどちらかにしてほしい。人生を奪われている」などと訴えている。
日弁連の報告書作成に関わり、人権擁護委員会特別委嘱委員を務める辻慎也弁護士(あびこ法律事務所)に、外国人の長期収容の現状と課題について話を聞いた。
ナイジェリア人はなぜ餓死したのか
――まず、2019年6月に起きたナイジェリア人の死亡事件について。なぜあのような事件が起きたのでしょうか。
やはり仮放免がなかなか認められないところが1番の問題で、全国の施設にも波及している。ハンガーストライキもあの事件だけではなく、施設の中でたびたび起こっていた問題だと思う。
(収容施設に)捕まっている立場としては、抗議手段がほかにないことが大きいと思う。仮放免の不許可処分を争う訴訟もあるにはあるが、現実に裁判所が認めた例は少ない。
――収容施設は全国にあるのですか。
(長崎県大村市にある)大村入国管理センターと(茨城県牛久市にある)東日本入国管理センターが長期収容施設。関東ならまず、(品川の)東京出入国在留管理局か横浜支局に収容し、長くなると長期収容施設に移送する。ただ、女性の長期収容施設はなく、品川などに収容されている。
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