「2030年ガソリン車禁止」政府が探る落とし所 政府基本案のたたき台から読めた日本の方針

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③の規制改革等の制度整備については、ゼロベースで新規法案とするのではなく、まずは省エネ法・グリーン購入法・温対法など既存の法律の一部改正によって対応する可能性を示唆している。早期の実効性という意味ではベターチョイスに思える。

市場拡大に向けた補助金制度についても、既存のCEV補助金制度などの改定によって、早期の実効性を担保できるはずだ。そして、④の国際協調という名の世界における“日本の立ち位置”または“東京の立ち位置”をどのように“落とし込むのか”が、大きなポイントとなりそうだ。

資料の中でイギリス、フランス、中国、ドイツ、アメリカ、そして日本それぞれについて「内燃機関の扱い」「電動車義務化」「燃費規制」「乗り入り規制」「BEV/PHEV/FCEV導入目標」という5つの項目で比較一覧としている。

ここで重要なのは「電動車義務化」で、ここには「義務付ける」「規制はなし」という表記があり、中国(NEV規制)とアメリカ・カリフォルニア州(ZEV規制)で「販売を義務化」と分類している点だ。

各国政策を踏まえての“落としどころ”

こうした一覧表を改めて眺めていると、年内という短いスパンで日本政府(経済産業省)が方針を取りまとめることを考えると、今回の発表では日本版のZEV規制法やNEV規制法ではなく、イギリス、フランス、ドイツに近い形で、内燃機関の扱いを“2030年、または2035年”とする政策になる可能性が高いと思われる。

イギリスでは、ガソリン車を2030年販売禁止とすると同時にハイブリッド車も2035年販売禁止としているが、日本は直近でハイブリッド車の販売比率が約3割と欧米と比べて高いこともあり、ハイブリッド車以外を考慮した“備考”という“落としどころ”を探ることも考えられる。

日産が12月23日発売する新型「ノート」は、全グレードでe-POWERと呼ばれるシリーズハイブリッドシステムを搭載する(筆者撮影)

また、化石燃料や電気の原材料の採取、製造、使用、廃棄に至るLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)の観点についても同資料では強調しており、ここに日本のグリーン成長戦略の特長を持たせることも重要だ。

そのほか、東京都の立ち位置については、同資料の一覧表にある「乗り入れ規制」という項目の判断を応用する形で、政府目標を前提としながら東京都がロンドン、パリ、ベルリンなどと“よきバランス”を取ることが想定される。

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