フランス人が決して「手料理」にこだわらない訳 貴族に嫁いだ女性が見た義母のエレガンス
ロックダウン中も「人間らしく」生きる
今年、フランスは2度にわたるロックダウン(外出制限)を経験しました。あわせると約100日間に及んだロックダウン。感染者の数は依然として多く、不屈の精神を持つフランス人も、コロナとの長期戦に疲労の色を見せています。SNSを見れば悲惨な話や陰謀説が溢れ、ニュースは経済不安や暴動に関する報道ばかり。
そんな中でも、私の周りのマダムたちは、いつもと変わらぬエレガントぶり。どうしてそうしていられるのかを考え詰めていくと、そこには彼女たちの、「人間らしく生きたい」という思いがベースにあることを感じます。「人間らしく生きるなんて、当たり前のこと」と思われるかもしれません。でも、時に忘れていませんか?
春先のロックダウンのときは、息子たちを2週間ほど義理の両親の別荘にて預かってもらっていました。都会の狭い家で、学校もなく、缶詰め状態となることを気の毒に思った義母が、孫たちを田舎の別荘に呼び寄せたのです。子どもだけでも5名、親戚たちも「疎開」してきたのでさらに2名。ロックダウン中は、使用人も働くことができず、計9名の大所帯を義母が主となって賄っていたのです。
「大丈夫ですか、食事の準備だけでも大変なのでは」と義母に聞くと、なんと、「料理はほとんどしていないのよ」と笑うではありませんか。
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