マッキンゼーが加担した「不正」驚愕の全容 大量の中毒死招いたオピオイド販促を後押し
麻薬入りの医療用鎮痛剤オピオイドの中毒問題に加担したとの批判が強まる中、コンサルティング大手マッキンゼーは製薬企業パーデュー・ファーマに対するコンサルティングは自社の基準を満たしていなかったことを認め、徹底的な内部調査を行うと発表した。証拠文書が削除された可能性も調査するという。同社としては異例の対応といえる。
世界で最も権威あるコンサルティング会社マッキンゼーが強烈な批判にさらされるきっかけとなったのは、ニューヨーク・タイムズによる11月の報道だ。マッキンゼーはパーデューの医療用鎮痛剤「オキシコンチン」の販売を「ターボがかかったように加速させる」方法を検討し、過剰摂取となる量のオキシコンチンを患者に販売した医薬品販売業者にリベートを支払うよう提案していた、とニューヨーク・タイムズは報じた。
これを受けて民主、共和両党の議員からはマッキンゼーに対する調査を求める声があがっている。マッキンゼーに勤務する有力な医師も、実態を把握していた取締役は辞職するべきだと語った。
証拠書類隠滅の疑いも
パーデューの破産手続きに関連して最近提出された文書によると、マッキンゼーの2人のシニアパートナーはパーデューに関連した文書を破棄するかどうか話し合っていた。マッキンゼーが自社の過ちを認めることはほとんどなく、オピオイドの販売促進でパーデューを手助けした件でも同社は自らの責任を認めたわけではない。
極めて中毒性の高いオピオイド系鎮痛剤をめぐっては、数十万人規模での乱用が社会問題となっていたにもかかわらず、だ。マッキンゼーはオピオイド事業についてはクライアントへの助言を世界的に停止し、「オピオイド関連の調査」にも協力していると明かした。
マッキンゼーは12月5日、ウェブサイト上で発表した声明にこう記した。「オピオイド危機のさなかに弊社がクライアントに提供していたサービスを顧みれば、私たちの社会で広がる中毒問題の大きさや、アメリカで何百万という家庭に与えるオピオイド乱用の深刻な悪影響を、十分には把握していなかったといわざるをえない」。