マッキンゼーが加担した「不正」驚愕の全容 大量の中毒死招いたオピオイド販促を後押し

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同社は声明でこう続けた。「問題の事業については徹底的な調査を進めている。その対象には、文書削除の可能性に触れた2018年の電子メールも含まれる。この問題に関する当局の調査には、今後とも全面的に協力していく」。

パーデューは公共医療制度に対する虚偽請求、医師への違法なキックバック支払いなどで刑事告訴され、少し前に罪状を認めている。マッキンゼーは今のところオピオイド事業と関連した告発、告訴は受けておらず、マッキンゼーが提案したリベートによる販売促進プログラムが実行に移されたことを示す証拠もない。

マッキンゼーの広報担当者は、このリベートは販売促進を意図したものではなかったと主張する。マッキンゼーが過剰摂取や乱用を促したとする説はすべて間違っている、と同社は声明で述べた。

「とはいえ、弊社事業を取り巻くさまざまな背景要素や、弊社事業がもたらす影響を考慮する責任があることは認識している。パーデューに提供したサービスは、そうした基準を満たしてはいなかった」

一方のパーデューは今年秋の声明に、オキシコンチンの不適切な販売促進活動について「深く反省しており、責任を認める」と記している。

アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、アメリカではオピオイド関連の過剰摂取で1999〜2019年に45万人近くが死亡している。パーデューのオキシコンチンは発売当時、市場に出回っている処方薬の鎮痛剤の中でも最も中毒性の高い製品の1つだった。

身内からも会社を公然と批判する声

こうした問題が明るみに出たことで、マッキンゼーでは身内からも会社を公然と批判する声があがるようになっている。ここには、かつて同社に在籍した人たちだけでなく、現職の従業員も含まれる。

マッキンゼー所属のディナ・マリー・ピタ医師は11月下旬、多数の同僚に向けた電子メールにこう書いた。会社は「単なる軌道修正ではなく、根本から変わらなければならない」ということが、今回の報道で明らかになった——。

ピタ氏はメールをこう結んだ。「同じ過ちを繰り返さないためには、人材ではなく、組織が変わる必要がある。ただ、この件に関与していた幹部は(患者に)害を与える可能性が大きいことを知りながら共謀した。幹部は(不正に)関与した責任を取らなくてはいけない。巨額の退職金を受け取ることなく、辞職すべきだ」。

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