GAFA解体?バイデン政権で強まる巨大IT包囲網 実施が見込まれる政策のポイントを解説
日本でも芸能人などが週刊誌を名誉毀損で訴えるケースがよくありますが、それは、週刊誌などのメディア会社が発行者として自分たちが発行するコンテンツに法的責任を持っているからです。
フェイスブックやYouTubeを運営するグーグルなどのインターネット企業は、プラットフォームを提供している「中立的立場」にあるテクノロジー提供者ですので、ユーザーが投稿するコンテンツに法的責任は持たないということになります。
セクション230でもう1つ大事な点は、プラットフォーム上に投稿されるコンテンツをどのように表示するか、表示しないかなどのルール設定をプラットフォーマーが自由に行えるということです。
この2つの法的保護により、GAFAをはじめとする多くのインターネット企業は急速な成長を遂げてきました。
特に、UGC (User Generated Content)とよばれる口コミサイトやレビューサイト、SNSなどの個人が情報発信をするサイトは、この2つの保護があったことが成長を後押ししたといっても過言ではないでしょう。
6割はフェイスブックでニュース取得
冒頭で触れたように、トランプ政権下では、共和党寄りの保守的なコンテンツが非優先的な扱いを受け、ネット上で抑制されているという政治的検閲に関する内容が問題視されました。
実はバイデン氏も、民主党予備選挙のときから、セクション230の問題点を指摘していました。ただし、その理由はトランプ政権のものとは違います。主に、フェイスブックやそのほかのソーシャルメディアプラットフォーマーが、セクション230の法的保護があることを理由に、故意に虚偽情報を広めているという指摘です。
2016年の大統領選挙以降、SNSなどのインターネット企業の「中立的立場」に対して疑問視する意見が強くなりました。ネット企業は一貫して「自分たちは何が真実かを裁く立場にはいない」「(憲法で守られている)言論の自由を尊重したい」と言っていますが、アメリカ人の58%がフェイスブックから、28%がYouTubeからニュースを取得しています。
このようなネット企業のプラットフォームが多くの国民にとってのニュースチャネルになっている現状や、また、コンテンツを拡充しユーザーを多く集め広告主から収益を得るというビジネスモデルを考慮すると、フェイスブックやグーグルなどはメディア企業(発行者)なのではないか?と考えることもできるわけです。
実際に、『the four GAFA』著者のスコット・ギャロウェイ教授はフェイスブックに関しては「完全なメディア企業だ」と言いきっています。