GAFA解体?バイデン政権で強まる巨大IT包囲網 実施が見込まれる政策のポイントを解説

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なおアップルは先手を打っています。2020年11月、AppStore(アップストア)内からの売り上げが100万ドル以下の会社について、手数料を通常の30%から15%に縮小すると発表しました。

アップストア内の売り上げが100万ドル以下の会社の、アップストア売り上げ貢献度は5%にも満たないため、大きな痛手ではありません。

そして、政府が介入する前に自発的にこのような変更をするのは、とてもスマートな決断であるといえます。政府が規制を強化する理由の多くが、「小さい会社やイノベーションの種となる次世代のスタートアップの発展を阻害していないかどうか」だからです。

シリコンバレーのテック業界にとっては、副大統領として活躍が期待されるカマラ・ハリス氏の存在も大きな意味を持つといえます。彼女はサンフランシスコ・ベイエリア出身です。

そして義理の弟のトニー・ウェスト氏は、アメリカ・配車サービス大手、Uber(ウーバー)のチーフリーガルオフィサーとして、ギグワーカーを個人事業主に分類する2020年の住民立法案「Proposition 22」において、58%の賛成票を勝ち取った戦略チームの主要人物です。

インターネットプロバイダーも厳しい

バイデン政権になると、GAFAなどのプラットフォーマーだけでなく、インターネットプロバイダーも厳しい対応を迫られそうです。

オバマ政権下の元FCC議長であるトム・ウィーラー氏によると、バイデン政権下では(トランプ政権が無効にした)ネット中立性法の回復が優先事項になるということです。

ネット中立性とは、コムキャストやベライゾンなどのインターネットサービスプロバイダーが、ケーブルやセルタワーを流れるすべてのコンテンツを平等に扱う必要があるという考えです。

つまり、他の会社のコンテンツをブロックしたり区別したりしながら、一部のデータを「高速レーン」に移してユーザーに届けることはできないというものです。

言い換えれば、これらのインターネットサービスプロバイダーは、ケーブルパッケージを売り込んだり、バンドルでビデオストリーミングサービスを購入したりすることを奨励するため、他社サービスへのアクセスをブロックしたり、通信速度を低下させたりできないということです。

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