GAFA解体?バイデン政権で強まる巨大IT包囲網 実施が見込まれる政策のポイントを解説

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バイデン政権下では、GAFAへの風当たりはますます強まる可能性が高い(撮影:宇都宮徹)
アメリカのシリコンバレーやシアトルを拠点に持ち、日本企業向けにAI開発をするパロアルトインサイトCEOでAIビジネスデザイナーの石角友愛(いしずみ・ともえ)氏。現地から見た、バイデン政権が実施するとみられるIT関連政策の狙いと知っておきたいポイントを解説します。

トランプ政権下で問題視された政治的検閲

ジョー・バイデン政権では、IT業界に多くの影響を与える政策の実施や変更を行うと考えられます。注目を集めるものの1つが、アメリカ通信品位法第230条(セクション230)です。

トランプ政権下で、セクション230の問題点として指摘されていたのが、共和党寄りの保守的なコンテンツが非優先的な扱いを受け、ネット上で抑制されているというセンサーシップ(政治的検閲)に関する内容です。例えば、ツイッターでは独自の調整ルールに基づき、トランプ大統領の選挙中のツイートの約50%を非表示扱いにしました。これが政治的検閲だと主張しているのです。

トランプ氏は2020年5月、大統領令に署名し、結果的にアメリカ司法省は修正法案を提案。そして連邦通信委員会(FCC)は10月に法律の解釈の再検討を約束しました。

セクション230は、1996年に作られたテクノロジー企業に2つの重要な保護を与える法律です。たった26語で成り立っており、その内容は「インタラクティブ(双方向)なコンピューターサービスを提供する者は、第3者が提供するコンテンツのパブリッシャー(発行者)としてみなされない」=ゆえに一部の例外をのぞいて第3者が提供するコンテンツに関して法的責任は生じない、というものです。

例えば、AさんがフェイスブックにBさんを名誉毀損する内容の文章を書き込み、結果的に1万人以上に拡散したとしても、フェイスブックはその情報のパブリッシャーとはみなされないため、名誉毀損を受けたとしてBさんがフェイスブックを訴えることはできないというものです。

次ページユーザーの投稿に法的責任は持たない
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