「視聴者の東大嫌い」を払拭した菊川怜の大功績 東大卒の肩書を「隠す芸能人」がいなくなった訳

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東京大学といえば「日本で最も高学歴」というのが、多くの人の抱くイメージ。それ故、エンターテインメントの中の一つのブランドとして機能してきました。

例えば、漫画の世界では、『東大一直線』(1976年連載開始/小林よしのり著)や『東京大学物語』(1992年連載開始/江川達也著)、『ドラゴン桜』(2003年連載開始/三田紀房著)など、東大を目指す学生、または東大生を扱った作品は、断続的に発表されてきています。

この「東大」の部分を他の大学、京大や早大などに置き換えても成立しないほどのインパクトと魅力が「東大」にはあるからこそ、長い間、ブランドとして機能し続けているといえます。

これは他のジャンル、ドラマや映画でも同様。上記の『東京大学物語』『ドラゴン桜』はいずれもテレビドラマ化されていますし、最近では、横浜流星のブレイク作ともなった『初めて恋をした日に読む話』(TBS系/2019年)という、不良高校生が東大を目指すという作品(これも漫画原作ですが)などなど、数多く存在します。

かつて東大卒は「反感を招く肩書」だった

こうした、エンターテインメントの世界を支える方々にも「東大卒」の方は数多くいらっしゃいました。日本映画界の巨匠・山田洋次、ムツゴロウ先生こと畑正憲、『世界ふしぎ発見』でお馴染み・草野仁、大御所シンガー・加藤登紀子などはすべて東京大学卒業生。

もっとさかのぼれば、『くいしん坊!万才』の初代リポーター・故渡辺文雄、シンガーソングライター・小椋佳、往年の名バイプレイヤー・矢崎滋なども東大出身です。

しかし、今挙げた方々は“東大”という肩書をことさらに押し出すことはなく、否、隠していた方すら少なくありません。「今、知った」という方もいるぐらいでは。そう、かつては“東大卒”が、エリートや選ばれた人々という、ヤッカミともいえるイメージを生み、世間の反感を呼んでいた時期もあったのです。

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