寝付きが悪い人は「何が邪魔者か」わかってない 食事、運動、日光――意外な要因が入眠を妨げる

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◇「牛乳」でスムーズな入眠を

反対に、入眠に役立つのが「牛乳」です。牛乳に含まれるトリプトファンというアミノ酸が、睡眠ホルモンであるメラトニンの生成を促すため、入眠しやすくなるのです。

また、乳児に限れば、夕方の「母乳」にはメラトニンそのものが多く含まれていて、乳児がよく眠れるように作用すると考えられています。

◇「サワーチェリー」は入眠効果のある果物

メラトニンを多く含み、睡眠導入効果があるとして期待されているのが「サワーチェリー」(酸味の強いサクランボ)です。研究によれば、果汁のメラトニン濃度が高いことがわかっています。

就寝前にコップ1杯の牛乳、乳糖不耐症であればサワーチェリーのジュースを試してみてはいかがでしょうか。

「寝室」を眠りに最適に変える

前述したとおり、体温の低下は体内のすべての体内時計に、夜が始まって眠りの準備をする時間がきたことを知らせる合図となります。

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体温が最も下がるのは明け方3〜5時頃、私たちがよく夢を見ている時間です。その頃に体温は約36℃前後となります。体は睡眠中エネルギーを節約し、すべての器官に休息と回復の機会を与えるために、短期間ある種の冬眠状態となるのです。

この体温リズムを妨げないためにも、就寝前に寝室の温度を上げすぎないようにしましょう。冬は暖房をきつくしすぎない程度でOKです。室温とよい睡眠の質との間には関連が見られることは、研究でも確認されています。

同時に、夜間、十分な酸素量を確保することも重要です。複数の研究で、人は窓を開けたままのほうがよく眠れるという結果が出ています。寝室のドアを閉じずにおくだけでも、空気の循環が著しく改善されるので、「オープンな寝室」にトライしてぐっすり具合を確認してみてください。

クリスティアン・ベネディクト スウェーデン・ウプサラ大学准教授、睡眠研究者

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Christian Benedict

1976年、ドイツ・ハンブルク生まれ。スウェーデン・ウプサラ大学准教授、神経科学者、睡眠研究者。キール大学の栄養科学修士課程を修了。リューベック医科大学で神経内分泌学を研究、博士号を取得。2013年よりウプサラ大学の教壇に立つとともに、同大学の睡眠研究を牽引。

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