新婚で「義母と同居」した女性が心底幸福なワケ 「真の豊かさ」のひとつの形がそこにある

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「お義母さんが家事を全部やってくれています。仕事から帰ってくるとゴハンが用意されていて、洗濯物も『出しておいてくれれば一緒に洗うよ』と言ってくれる。私、下着まで洗ってもらっています(笑)。とにかくさっぱりとした性格の人なので、いわゆる嫁姑みたいな問題は起きません」

実家なので2人一緒に寝ることはないらしい。3人きょうだいが巣立った2階が空いているため、一郎さんはそのまま自室を使い、真奈美さんは一郎さんの弟の部屋を譲り受けた。ホームステイ中の外国人のような生活である。

「勤め先までも30分以上近くなりました。4万円だけ家に入れていますが、本当はもっと払うべきだと恐縮しています。埼玉県で1人暮らしをしていたときの家賃は7万9千円でした。今は新宿まで電車で10分もかからない便利な住宅地で3食付きの生活で、すごく楽をさせてもらっています」

しきりに感謝の言葉を口にする真奈美さん。一郎さんとだけではなく、その家族との相性がよかったのだと思う。今まで忙しく働きながら1人で暮らしてきたからこそ感謝ができるのかもしれない。

「40代の前半までは、もし結婚するなら年収や学歴が自分より上の人がいいなと思っていました。でも、そういう人は私のことを大事にはしてくれないかもしれません。こだわりを取っ払って婚活していたら一郎さんと巡り合うことができました」

45歳のときに真奈美さんは病気になり、子どもは産めない体になった。付き合い始めた当初、一郎さんにそのことを伝えたという。彼は「言いにくいことを言ってくれてありがとう」と返してくれた。

相手に感謝する気持ちがあれば、障害もメリットに

結婚が決まっていた昨年末、一郎さんは同業他社への転職を果たした。土日はちゃんと休める会社で給料も少しアップ。今、週末ごとに真奈美さんとドライブできることが楽しくて仕方ない。

年収や学歴、親との同居、ペットの世話、介護……。赤の他人と家族になるときにはさまざまなハードルがある。晩婚同士だとなおさらだ。しかし、相手に感謝する気持ちがあれば、障害と思われる点をメリットに変えることもできる。夫の実家をわが家にした真奈美さんに真の豊かさを感じた。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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