さらば広告マン、目覚めよ社内マーケター! ビッグデータで高まる「組織横断マーケティング」の重要性

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広告代理店に頼る時代は終わった

従来の「広告・販促」という狭い概念のマーケティングにおいては、企業内にマーケティングのスペシャリストは特に必要なかった。広告代理店がこれを担っていて、企業の担当者が3~5年の人事ローテーションで替わっても、代理店側がそのノウハウを引き継いでサポートしていたからだ。しかし、それでも問題がなかったのは、「マーケティング=広告」だった時代。しかしそれでは今は立ち行かない。なぜならマーケティングの概念が限りなく広がり、複雑化しているからだ。

その広がる概念の象徴が「トリプルメディア」である。ひとつはいわゆる“広告”に代表される購入するメディアである「ペイドメディア」。2つめは自社のHPなど企業が自分たちで所有する「オウンドメディア」。そしてFacebookやTwitterといったソーシャルに代表されるファンを獲得するための「アーンドメディア」。これらの3つのマーケティングメディアを有機的に結び付け、あるいは使い分けていくことがマーケターに求められている。

 

つまり「ペイドメディア」ではプロの広告代理店も、「オウンドメディア」や「アーンドメディア」においては素人に近いケースもある。よって、これらの3つのメディアを自由自在に操るには、訓練されたプロのマーケターが社内に必要になってくるのである。

とりわけオウンドメディアとは、まさに“オウンド(所有する)”との言葉が表すように、自社で運営するものであって、外部に依頼する性格のものではない。オウンドメディアには現在および将来の顧客のデータや社内の組織データが詰まっているからだ。そんな重要なデータの運用や管理を外部にアウトソースしてしまっては、経営の放棄と同義になりかねない。どうやって顧客を育てていくかという「知見とデータ」は、何よりも自社の宝になるのである。

これからはこの「知見とデータ」のため方自体が、企業の経営戦略の大きな柱になってくるだろう。「マーケティング=広告」の時代には、おカネさえあれば、競合企業に決定的な差をつけられるということはあまりなかった。しかしこれからは、自社内に「知見とデータ」をためる企業と、そうでない企業には、決定的なマーケティング力の差が出る。そしてその差が、収益の“結果”として経営に直結する、そんな時代になっている。

ブランドマネジャーとブランド横断のマーケター

そもそもマーケターと言われる人たちには2種類ある。ひとつはブランドの利益を最大化することをミッションにした、「ブランドマネジャー」。もうひとつは事業部を横断し企業全体の利益を最大化させるための「ブランド横断マーケター」だ。前者は製品別の営業支援の側面が強く、各商品の事業部にひもづく形が多い一方で、後者は全社的な部門に位置づけられ、「広報部」や「宣伝部」の上位組織にあたる「メディア戦略を考える経営企画部」に近いイメージだ。

外資系のコンシューマパッケージグッズ企業では、ブランドマネジャーがマーケターと言われるケースが多い。冒頭に出たP&Gもその典型。ひとりの担当者がひとつのブランドを持つ。たとえば洗剤「ジョイ」の担当者であれば、「ジョイ」の購買層を分析し、若い主婦マーケットを狙うなどターゲット設定し、訴求するメッセージと目的を検討、最終的にはCMや店頭での具体的なキャンペーンプランに落とし込む。こうした一連の流れをマネジメントし、担当ブランドの利益の最大化を図るのがブランドマネジャーの仕事だ。

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