「子宮頸がんワクチン」男も打つべき2つの理由 「なぜ僕は接種したのか」ある父子の体験談

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アメリカに限らず先進諸国では1983~2002年の間に、中咽頭がんの罹患率が大幅に増加したことが報告されている。特にアメリカ、オーストラリア、カナダ、日本で、男性の増加が顕著だった。近い将来、HPVワクチンは「子宮頸がんワクチン」から「中咽頭がんワクチン」に、呼び名が取って代わられるかもしれない。

また、HPVの引き起こすがん以外の病気として、尖圭コンジローマがある。男女ともに性器にやっかいなイボを発症する性感染症だ。国内の推定患者数は約3.9万人ともいわれる。多くは良性だが、まれに子宮頸がん原因ともなるHPV16型による場合もある。

承認前から「9価ワクチン」に殺到する留学生

現在、日本で定期接種化されているHPVワクチンは、2価(サーバリックス)もしくは4価(ガーダシル)。「価」というのは、対応できるHPVの型(種類)の数を表している。インフルエンザでいうA型、B型のようなものだ。2価ワクチンはHPV16型と18型をカバーし、4価ワクチンはHPV16・18・6・11型をカバーする。

HPVには100種類以上の型があり、子宮頸がんを引き起こすものだけでも15種類わかっている。特にハイリスクなのが16型と18型で、この2つで子宮頸がん原因の70%を占めるとされる。

言い換えると、定期接種となっているHPV2価・4価ワクチンの子宮頸がん予防効果は、いずれも70%ということだ。これを高いと見るか、低いと見るか。

というのも、今年7月に申請から丸5年を経て(!)ようやく承認された9価ワクチン(シルガード9)であれば、90%の子宮頸がん予防効果が期待できるからだ。9種類のHPV型(6・11・16・18・31・33・45・52・58型)をカバーし、欧米ではすでにこちらが標準仕様だ。

ただし、9価ワクチンは価格もバカにならない。1本数万円×3回接種で約10万円近い負担となる。国内の女子生徒であれば、70%の予防効果でも定期接種化され無償で打てる4価ワクチンを選択するのは普通だろう。

一方、HPVワクチンを求めて当院に殺到する留学生は、100%が9価希望だ。彼らは元より自費接種だが、4価ワクチンであれば半額程度で済む。しかし10万円程度で20%高いがん予防効果と生涯の安心が得られるなら、数万円の差額など微々たるもの、というわけだ。やはり非常に合理的である。

ちなみに、定期接種にも含まれる16型は、HPV陽性の中咽頭がんの約90%を占めている。また、尖圭コンジローマの多くは6・11型が原因で、4価ワクチンであればカバーされる。

そんな中、ナビタスクリニックで今年初めにHPVワクチン「ガーダシル9」(個人輸入HPV9価ワクチン)の接種を受けた男子学生がいる。渡辺浩一さん(仮名、開始時18歳)は今年、灘高校を卒業して東京大学理科三類に進学。学生生活を始める準備の一環として、HPVワクチンの接種を決めたという。父親の和也さん(仮名)も、浩一さんと一緒に接種を受けられた。

渡辺さん親子に、当院スタッフが話を聞く機会をいただいた(2回目接種時)。以下、紹介したい。

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