「レヴォーグ」カー・オブ・ザ・イヤー獲得の凄み 揺るぎない「安心・安全」を支える開発の裏側

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従来からのアイサイトも進化した。例えば見通しの悪い交差点での出会い頭事故や、横断歩行者との接触などを警報ブザーやブレーキ制御で抑制する新機能を加え基本性能を大きく高めた。

従来のアイサイトも新機能を加え基本性能を大きく高めた(筆者撮影)

アイサイトXではアイサイトの各機能に加えて、渋滞時に50㎞/hを上限として、ステアリングから手を放す「ハンズフリー走行」ができるほど精度の高い運転支援が受けられる。これは三菱電機と共同で開発した3D高精度地図ユニット(HDマップ)とGPSやマルチ衛星測位システム、さらには自車の光学式複眼カメラ(ステレオカメラ)と車体前後4つのミリ波レーダーセンサーを連動させることで実現した。

「ドライバー異常時対応システム」も織り込んだ

さらに、2016年3月に国土交通省が世界に先駆けて示したガイドラインに準ずる「ドライバー異常時対応システム」も織り込んだ。

運転中のドライバーになんらかの異常が発生したことが、運転操作や車載のドライバーモニターカメラなどとの複合情報によって確認された場合には、SAEレベル2相当の運転支援技術をフル稼働させ、ハザードランプやホーン鳴動を伴いながら安全に停止。仮に走行場所がカーブ路の場合は後続車への配慮から、直線路になってから停止する。

テストコースを走るレヴォーグ(筆者撮影)

筆者はこれまで、テストコースやサーキットなど発売前から2代目レヴォーグ・プロトタイプに乗り数多くの取材を重ね、発売後は公道を500㎞走らせた。

また、開発陣からは技術的な説明を受けながら、「なぜ、この性能を目指したのか」など深い議論を行ってきた。そうした貴重な機会を経て痛感したのは、愚直なスバルの技術開発に対する姿勢だ。

一般的に技術は数値で表しやすい。そしてつねに競争にさらされるから、開発担当者は当然ながら1点を極めたくなる。しかし、ある部分だけの数値がよくても技術の集合体であるクルマは人が運転するものだから、ドライバーの感覚や同乗者の感性を大切にしなければ心地よさは感じてもらえない。それが安心・安全という領域であればなおさらだ。

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