ただ、人事担当者の若者批判を読むと、「いまどきの若者は……」という類型的なものと少し異なる印象がある。「ものを知らない」「マナーやルールを守れない」「自信過剰で生意気」ではなく、価値観、行動軸に問題があり、「人間として評価できない」と感じる採用担当者が多いのだ。
「学生の労働意欲や向上心の希薄さや自己中心的な考え方」(サービス・1001人以上)
「学生の意欲低下、おとなしい性格の者が増加」(サービス・1001人以上)
「学生の質の低下。特に主体性やバイタリティの低下。そういう経験をして育ってきていない」(金融・301~1000人)
「学生の自己評価が高い、企業に就職する意味(コストをかけて採用する側の視点)をあまり考えていない傾向。義務教育から会社の仕組み等を授業で取り入れるなどが必要」(情報・通信・301~1000人)
かつての若者への非難は、未熟さによる問題行動への批判が多かったものだが、現在の就活生に対しては、行動を起こさないおとなしさに不満を感じているようだ。
原因に挙げられる「少子化」
レベル低下を挙げる人事担当者がおり、「少子化の中で、内定が多く得られ、自分の進むべき選択に迷っている」や「少子化による学生の質の低下」という意見がある。
確かに少子化によって若年労働者の不足はとても大きな問題である。企業は慢性的な人手不足に陥っており、思うように若者を採用できていない。飲食店や建築現場でも外国人が目立って多くなっている。自衛隊の採用も困難に直面し、定員割れの状態が続いているそうだ。
「少子化」の報道が多いので、若者の代表である学生数が減少していると勘違いする人もいるだろうが、実際は違う。大学生は増えている。
「少子化」とは出生数の減少による人口分布の変化を指す。出生数が最多だったのは1949年の269万人。いわゆる「団塊の世代」(1947~1949年生まれ)だ。次のピークは「団塊ジュニア世代」の1971年で出生数は210万人。その後は減りつづけて、2016年から100万人を割り、昨年は86万人だった。
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