浸かるだけで体をキレイに「夢のお風呂」の値打 こすって肌を傷めずとも小さな泡が汚れ落とす

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“人間洗濯機”を目指したお風呂の秘密とは?(写真:NHK大阪拠点放送局)
身体をゴシゴシこすらなくても、浸かるだけで身体中の汚れが落ちるとされるお風呂をご存じだろうか。
直径0.1mm未満の泡(ISO国際標準規格)の“ファインバブル”というミクロの泡が肌のすみずみまで老廃物を取り除き、健康的でつややかな美肌にしてくれる。「わが家のお風呂がエステになる」、それがうたい文句だ。
このお風呂を開発したのは、大阪市淀川区に本社を構える「サイエンス」(2007年設立)。ファインバブルの技術を取り入れた浴槽やシャワーヘッドで業績を伸ばしている。
ファインバブルは、泡の大きさによって「マイクロバブル」「ウルトラファインバブル」に分類される。通常、水の中でできる気泡と比較しても極めて小さく、負電位のため、微小な汚れを吸着して水面に浮上させる性質を持つとされる。
ファインバブルをつくる技術は、日本が世界的にリードしており、その機能や効果はまだ解明中である一方、その特性から水質浄化や医療分野に応用が可能な技術としても大きな注目を集めている。
NHK大阪拠点放送局が制作する「ルソンの壺」は11月22日の最新放送回(関西地域で7時45分~8時25分放送)において、サイエンスと京都市下京区のレンタル絵画のベンチャー企業Casie(2017年設立)を取り上げた。そのうち経済ジャーナリストの三神万里子氏と狩野史長アナウンサーによる、サイエンスの青山恭明会長へのインタビューを、番組本編に収まりきれなかった部分も含めてお届けする。

ただ娘を救いたい一心で

狩野 史長(以下、狩野):入浴装置の分野に参入したきっかけは?

青山 恭明(以下、青山):私の三女が生まれたときから重度のアトピー性皮膚炎を患っていて、水道水に含まれる塩素が入浴などで肌に吸着しアレルギー反応を起こしてしまうため、身体をこすって洗うことができないということがありました。

そんなとき、偶然テレビで「小さな泡を使って洗う」という半導体の洗浄工程を見たときに、はっとしました。

同時に50年前の万博を思い出して、例えば同じ理屈で小型化してお風呂をつくれば、“人間洗濯機”ができるのではないか。お湯に浸かっているだけで娘の身体をきれいにしてやれるのではないか、と思いました。

娘の問題を解決することができたら、同じように苦労されている方のお役に立てるのではないかと思ったのです。

浄水器を家のおおもとにつける“浄水システム”を開発し、お風呂にためるお湯もシャワーのお湯も、すべて塩素がない状態の“いいお水”を出すという装置の開発が、わが社のスタートでした。

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