浸かるだけで体をキレイに「夢のお風呂」の値打 こすって肌を傷めずとも小さな泡が汚れ落とす

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三神:突破口になったのは?

青山:50社ほどの会社に連絡し、あと1社、2社くらいしか声をかけられる会社が残っていないというところで、運命だと感じる出合いがありました。

長崎の大型プラントをやっている企業の取締役技術本部長の担当者が、「自社の技術を応用して小型化したものに挑戦するべきだ」という考えを持っていたのです。私は自分の思い描いていた夢を語り、初めて「1回やってみますか」という言葉をいただけました。天にも昇るような思いでした。

サイエンスはシャワーヘッドも展開している。NHK「ルソンの壺」は関西の“キラリと光る”企業や団体を取材し、ビジネス成功の秘訣を伝える番組。最新回は11月22日(日)、NHK総合の関西地域で7時45分~8時25分放送です(写真:NHK大阪拠点放送局)

狩野:自分の思い描いていた夢を先行させてアプローチできたのは、営業職という、これまでの経験が生かされたのでしょうか。

青山:はい。結局は何のために物を売るのかと言うと、「お客さんの喜んだ姿を見たい」。ただそれだけです。

冬場の寒いときを思い浮かべてください。浴室に入ったら早くお湯に浸かりたいとなるものの、浴槽が汚れないように、我慢しながら体を洗っている人は少なくないでしょう。それが、洗う時間を省いてすぐにお湯にぱっと浸かって、それだけできれいになれる。夢みたいな話じゃないですか。

これは絶対に喜んでもらえる。身体を洗う手間もなくなるし、浸かるだけでエステを受けたような状態になります。すべての人に喜んでもらえるモノを、早く世の中に届けたいと思っていました。

「怪しげなもの」のイメージを取り除くには

狩野:開発を始めてからおよそ4年。2009年、ついに販売にこぎ着けました。営業先の反応は?

青山:大ヒット間違いなしと営業をかけまくりましたが、「怪しげなもの」と言われて、まったく相手にされませんでした。

今でこそ、ISO化(国際標準化機構:International Organization for Standardization)されて国際的に標準化されていますが、当時は、何ミクロンの泡を何バブルと呼ぶのか、基準もエビデンスもない状態でした。そのため、「大学の教授の推薦はないの?」と言われることもあり、用意してもデータ説明をしっかり聞いてもらえないのです。

三神:基準がない時代に売り込むという非常にリスキーなことをされたんですね。データも見てもらえないなかで、どうされたのでしょうか。

次ページより多くの人に体感してもらうための戦略
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