名古屋のスガキヤが「移動販売」を始めた事情 コロナ禍で攻める「名古屋めし」の外食チェーン
「スープと麺・具材をセパレートしましたが、材料自体は店で提供するものとまったく同じです。リピーターも獲得できていて、味はご満足いただいているととらえています」(髙岡GM)。
販売数は多い時で1店舗30食ほどと、これだけで落ち込んだ売り上げをカバーできるほどにはいたっていないが、「今も外食を控えるお客様がいる中、さまざまな利用動機に利便性を持ってお応えすることが大切」(同)と、顧客離れを防ぐ狙いもある。
フードトラックで移動販売を開始
5月に販売したのがラーメンチケット。ラーメン1杯分(通常330円)のチケットが11枚つづりで2000円という「実質4割引き」となる破格のチケットだ。
2019年9月以来2度目の販売と、もともとコロナ対策で導入されたものではないが、当初用意した5万枚が数日で完売し、追加販売も含めて約10万枚が完売するほど大きな反響があった。
こうしたファンをつなぎとめる施策が奏功してか、業績は6月から上向き出し、9月半ばからは回復基調がより顕著に。10月は前年同月比90%前後にまで持ち直してきているという。
10月からはフードトラックによる移動販売も始めた。愛知・岐阜・三重のイベントや公共施設などに出張し、1日最大300食を販売。引き合いは多く、週4~5日のペースで稼働している。
「新たな売上創出という目的もあるが、近くにスガキヤがないという地域や、行きたくてもいけないというお客様に、われわれのほうからお伺いさせていただきたいという気持ちで始めました。将来的には台数を増やし、全国にスガキヤの味と楽しさをお届けしたい」(髙岡GM)。
スガキヤはSC内出店が基本のため、“攻め”の戦略を打ち出しにくい構造を抱えてきた。しかし、「外食の動機の多様化に応えられるよう新しい切り口にも積極的に取り組んでいきたい」(髙岡GM)と意欲を燃やしているように、フードトラックはそれを象徴する新展開といえる。
他エリアへの出張販売は、“地元限定”から脱却するきっかけとなるかもしれない。
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