名古屋のスガキヤが「移動販売」を始めた事情 コロナ禍で攻める「名古屋めし」の外食チェーン
名古屋発の外食企業として、今やナンバー1の知名度と言えそうな存在がコメダ珈琲店だ。全国47都道府県に850店舗以上を展開。名古屋喫茶特有のモーニングサービスは、名古屋めしの1つとしても広く認知されている。今回のコロナ禍による影響はどうなっているのか。
「外食企業の中では、当社は業績の回復が早かったほうだと思います」というのはコメダ広報担当の清水大樹さん。
パンやコーヒーなどの商材を含む、フランチャイズチェーン(FC)向けの卸売売上(既存店ベース)は、4月は前年同月比で53.1%まで落ち込んだものの、5月には71.3%、以後6月85.5%、7月89.9%と着実に上向きに。
9月は期間限定商品やキャンペーン、テレビCMと積極的な販促策も打ち、101%と持ち直した。10月も101.6%と堅調に推移している。
この間、コロナ対策として数々の施策も投入した。もともと行っていたテイクアウトの認知度向上のためにHPのトップで紹介するほか、SNSでも「#おうちコメダ」をつけて情報を拡散。
テイクアウトの増加が下支え
テイクアウトできるパンの種類を増やし、一部で持ち帰り専用メニューも採用した。これによって、全体の1%にすぎなかったテイクアウトの売り上げは5月には約9%にまで向上した。現在は3%ほどに落ち着いているというものの、売り上げを下支えする存在価値は以前よりも高まっている。
4月に開設したファンサイト「さんかく屋根の下」は、店舗に来られないファンをつなぎ止める役割を果たしたという。コメダのコンセプトである「くつろぎの日」をテーマにしたフォトコンテストでは500件もの投稿が寄せられた。会員は開設から半年でおよそ1万6000人に達している。
こうした施策の効果もあるが、コメダのブランド力こそが早期の回復の最大の原動力だと清水さんは言う。
「創業52年間に培ってきたブランドの強さが発揮された。全国に約370名いる加盟店オーナーが地域密着の姿勢を守り、コロナ禍における時短や施策なども個々に判断して地域に合った対応を取った」
コメダは全店舗の97%がFC加盟店。オーナーの裁量も大きい運営方針が柔軟で地域に合った対応につながり、客離れを食い止めたという。
ブランドを支えてきた加盟店に対し、本部は総額1億円以上にものぼる支援金、地権者に対する賃料の支払い猶予や減額の交渉といった手厚いバックアップで応えている。相互の信頼関係の強さが、有事にも負けない地力として発揮されたといえそうだ。
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