「ネット」で悪質行為を繰り返す人の思わぬ正体 「ネットゲームだからしかたがない」でいいのか
リモートの無礼さについて著者はどう考えているのか。「職場の無礼さ」の研究に20年を捧げた著者の集大成である『Mastering Civility: A Manifesto for the Workplace』。同書の日本語版『Think CIVILITY(シンク・シビリティ)「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』には掲載しなかったコンテンツを翻訳・編集してお届けする。
オンラインだから攻撃的になる?
オンラインでの無礼を取り締まることは容易ではない。どうすれば、荒らしやあおりといった無礼な言動を防ぐことができるのだろうか。どうすれば攻撃的な言葉や人の気分を害するような画像から、人々、とくに若者たちを守ることができるのか。
過去3年の間、ライアット・ゲームズ(ゲーム会社)のデザイナー、科学者のチームは外部の研究者と組んで、この厄介な問題に取り組んできた。彼らがとくに重要視したのは、同社の開発する「リーグ・オブ・レジェンド」というゲームに起きる問題である。
まずライアット・ゲームズでは、オンラインプレーヤーを言葉遣いがいいか悪いかで2つのグループに分けた。それでわかったのは、悪い言葉(人を見下したようなことを言う、汚い言葉を使う、など)の大多数は、プレーヤーとしての行動がつねに悪質というわけではない人たちから発せられていたということだ。
また、プレーヤーとしての行動がつねに悪質な人たちの87%は、普段の言葉遣いだけを見ていると、ごく普通か、むしろいいほうに分類されることがわかったのである。
そしてライアット・ゲームズの対策チームは、行動が悪質なプレーヤーの多くがほかの悪質なプレーヤーと組んで、「悪質な行動の下向きのスパイラル」と呼ぶべきものを生み出していることも突き止めた。複数の悪質なプレーヤーが組むことで悪質な行動をエスカレートさせていたということだ。
プレーヤーの言動を改善するため、ライアット・ゲームズでは、ゲーム中のプレーヤーに対し、24のメッセージを表示することにした。これは、礼節ある行動を奨励するプレーヤーへの助言である。
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