「ネット」で悪質行為を繰り返す人の思わぬ正体 「ネットゲームだからしかたがない」でいいのか

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トリビュナルの導入後に起きた変化は、対策チームにとって望ましいものだった。オンラインのゲーマーたち、市民たちの大多数は、ヘイトスピーチに反対するようになった。例えば北米では、同性愛者を攻撃するような発言をすると、大変な非難を浴びることになる。それは何より非難されるべき言動と受け止められているからだ。

対策チームでは、トリビュナルへの報告が100万件に達する頃から、ゲーマーの間で交わされるネガティブな言葉をポジティブな言葉に変える取り組みを始めた。

その結果、同性愛者差別、男女差別、人種差別などに関わる言葉が、リーグ・オブ・レジェントというゲームのプレー中に交わされる言葉のわずか2%にまで減少した。また言葉による虐待は40%以上も減少した。ネガティブな言葉を使っていたプレーヤーの91.6%は、対策チームの取り組みの影響で態度を変えた。

ネガティブな言動を通報され、ペナルティーを課せられた後、2度と同じような言動を繰り返すことはなくなった。リーグ・オブ・レジェンドから、無礼な言動は一掃されたと言ってもいい。

オンラインでの礼節に気を配るべきである

ライアット・ゲームズでソーシャル・システムのリード・ゲーム・デザイナーを務めるジェフリー・ライト・リンは、ある少年から手紙を受け取ったという。少年は、ゲーム中に人種差別的な中傷発言をし、仲間からフィードバックを受け取った。手紙にはそのことについて「オンラインでNワードを使わないように、と誰かに言われたのは、僕にとって初めてのことでした。本当にすみませんでした。もう2度とそんな言葉は使いません」と書かれていた。

ゲーム中のプレーヤー同士のやりとりをよりよいものにするべく、ライアット・ゲームズの対策チームではこんな実験も行っている。それは、プレーヤーにスポーツマンのような言動を奨励する実験だ。好ましい言動があったプレーヤーには、名誉ポイントなどの報奨を与える。また対策チームは、チャットルームでの言葉遣いをいかに改善すべきかの研究も進めている。

ライアット・ゲームズの取り組みから学べることは多い。重要なのは、ゲームをしているときも、仕事を離れた時間でも、または勤務中でも、とにかく私たちはオンラインでの礼節に気を配るべきであるということだ。

そうすることで、仕事にしろ、遊びにしろ、物事がうまく運ぶことは間違いない。私たちは電子的なコミュニケーションに関してもっと思慮深くなるべきだろう。ほんの少しの努力が大きな結果の違いになりうるのは、オフラインの場合と同じだ。

クリスティーン・ポラス ジョージタウン大学マクドノー・スクール・オブ・ビジネス准教授

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Christine Porath

活気ある職場を作ることを目的とし、グーグル、ピクサー、国際連合、世界銀行、国際通貨基金、アメリカ労働省・財務省・司法省・国家安全保障局などで講演やコンサルティング活動を行う。
その仕事は、CNN、BBC、『タイム』『ウォール・ストリート・ジャーナル』『フィナンシャル・タイムズ』『フォーブス』など、世界中の1500を超えるテレビ、ラジオ、紙メディアで取り上げられている。
ノースカロライナ大学チャペルヒル校ケナン=フラグラー・ビジネス・スクールにて博士号取得。博士号を取得する以前は、スポーツ・マネジメントとマーケティングを行う大手企業IMGに勤務。
共著に『The Cost of Bad Behavior』がある。

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