「ネット」で悪質行為を繰り返す人の思わぬ正体 「ネットゲームだからしかたがない」でいいのか

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例えば、「ほかのプレーヤーが何かミスをしたとき、建設的なフィードバックをすれば、そのプレーヤーのパフォーマンスはきっとよくなるでしょう」といったメッセージだ。なかには、「チームメートがミスをしたからといって、嫌がらせをすれば、その人のパフォーマンスはさらに悪くなってしまいます」など、悪い言動をやめさせるためのメッセージもある。

メッセージは3つの色で、ゲーム中のさまざまなタイミングで表示されるようにした。メッセージを表示するテストは合計で216の条件で行われ、その結果をまったくメッセージを受け取らない対照群と比較した。

メッセージの中には実際に悪い言動の抑制に役立ったものもある。「嫌がらせをすると、された側のパフォーマンスを低下させる」というメッセージを表示した場合、対照群に比べ、言葉による虐待は6.2%、乱暴な言葉遣いは11%減少した。

メッセージが強い効果をもたらしたのは、赤で表示されたときだけだった。赤は西欧の文化では何らかの誤りを知らせる色なので、それが関係していると思われる。

プレーヤー同士の協調を促す前向きなメッセージにも、乱暴な言葉遣いを6.2%減らす効果があり、またこの種のメッセージには小さいがほかにもメリットがあった。

ゲーム内の礼節は現実の行動にも影響がある

対策チームは、ゲーマーたちのコミュニティーの文化を改革しようとした。匿名の人たちばかりから成る社会を管理し、一定の秩序をもたらすことは非常に難しい。そこでチームは、重要なあることに注目した。

それは、プレーヤーの言動の良しあしが、その後の本人に起きることにどの程度、影響するのかということだ。その影響が小さいのであれば、必然的にプレーヤーは自分の言動に注意しなくなってしまう。

影響を少しでも大きくするため、対策チームは、ゲーマーがほかのゲーマーの言動に対しリアルタイムでフィードバックを与えることができるメカニズムを組み込んだ。

「トリビュナル(Tribunal)」と名付けられたそのメカニズムは2011年から運用が開始された。これは、プレーヤーの公開の言動録でもある。プレーヤー同士が互いの言動に対し、「容認できる」「容認できない」という判断を下すことができ、それが記録に残っていく(プレーヤーは、あとから自分たちのプレーやチャットの内容を振り返ることができるが、言動に対する「容認できる」「容認できない」という評価も同じように後から見ることができる)。

プレーヤーが、ほかのプレーヤーの言動についてトリビュナルに報告をすると、そのことが機械学習システムへと通知される。機械学習システムは、報告データに基づき、それに合うようプレーヤーへのペナルティーやインセンティブをカスタマイズしていく。無礼な言動が目についたときは、それをできるだけ具体的に、間をあけずに指摘すると、改めさせる効果が高まることもわかっている。

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