ディズニー「名作アニメの差別描写」に悩む理由 ついに「ディズニーランド」にまで影響が出た
9月9日、ネットフリックスで配信が開始されると、世界中から多くの批判の声が上がったフランス映画『キューティーズ!』。今年2月に開催されたサンダンス映画祭では、ワールド・シネマ・ドラマ部門で監督賞に輝き、満を持してのネットフリックスでの世界配信だった。
ところが、蓋を開けてみると小学生の女の子たちが性的なダンスを踊るシーンが多く、さらにネットフリックスが制作したプロモーション・ビジュアルも、元のポスターよりセクシーさを強調した部分が問題となり、世界中から抗議が殺到する事態となった。
さらに、ポーランド発ロマンス映画として6月に配信開始された『愛は、365の日々で』は、配信直後から「拉致監禁の美化」と世界から非難が集中した。
自身も強姦、そして監禁の被害者であるイギリス人歌手ダフィーは、ネットフリックスCEOであるリード・ヘイスティングスへ直接手紙を書き、これ以上性的搾取の美化をしないよう訴えて話題となった。
このように、ネットフリックスやアマゾンプラムビデオなどのOTT(動画配信サービス)を通じて世界中に作品が配信されることで、表現について新たに考えさせられる事例が急増している。
誰もが知る名作にも差別表現が
今月、ウォルト・ディズニー・カンパニーは、自社のサブスクリプション動画配信サービスであるディズニープラスで、過去の名作アニメ6作品に有色人種に対する差別的表現があるとし、人種差別表現があることを告げるメッセージを表示することにした。
6作品とは、『ダンボ』(1941)『ピーター・パン』(1953)『わんわん物語』(1955)『スイスファミリーロビンソン』(1960)『ジャングル・ブック』(1967)『おしゃれキャット』(1970)で、いずれも1970年以前に制作されたアニメーションである。
いずれも、特定の人種の特徴をむやみに誇張し、ステレオタイプで差別的な表現をしている箇所がある。例えば、『おしゃれキャット』では、アジア人を彷彿とさせる猫が箸でピアノを弾いている。また、『ジャングル・ブック』のオラウータンのキャラクター、キング・ルーイはアフリカ系アメリカ人のアクセントで喋っていて、典型的な黒人ステレオタイプ表現である。