ディズニー「名作アニメの差別描写」に悩む理由

ついに「ディズニーランド」にまで影響が出た

今回の6作品については差別的表現についてのメッセージだけだったが、完全な差別表現に関しては、該当シーンがすでにカット処理された過去作品もある。例えば、有名な作品でいえば、クラシック音楽とアニメの融合が美しい名作『ファンタジア』(1940)では、サンフラワーというキャラクターがアフリカ系アメリカ人を誇張していると抗議され、60年代にサンフラワーの登場シーンがカットされた。

また、短編映画『サンタのオモチャ工房』(1932)では、クリスマスプレゼント用に作られた人形をサンタクロースが確認するシーンで、流れてくる白肌のブロンドの人形が「ママ!」と言うとOKのハンコを押し、次に黒い肌の人形が「ママ!」というと、サンタはそれを見て爆笑。黒い肌の人形は自らOKのハンコを押して立ち去る──という場面があった。この数秒のシーンももちろんカットされている。

今回、差別表現に関する注意メッセージが表示されるようになった『わんわん物語』だが、差別シーンとされているのはアジア人への誇張表現だ。昔から欧米の映画でのアジア人ステレオタイプは、細く吊り上がった目に大きな前歯が特徴で、『わんわん物語』では、2匹のシャムネコがこのように描かれている。

さらに日本人を馬鹿にした表現で有名なのは『ドナルドの襲撃部隊』(1944)である。こちらも同じくアジア人の外見を誇張し、さらに強い英語アクセントと、お辞儀を繰り返す日本人の文化をギャグにしている箇所がある。

これらの作品は、タイトルの横に書き込んだ年号を見ていただければわかるように40〜50年代に制作されたものが多い。とくにアジア人や日本人に対しての表現は第2次世界大戦など戦争の影響もあるようだ。

ディズニーランドの人気ライドにも影響が!

近年の修正では、『アラジン』(1992)が記憶に新しい。ある曲の歌詞の一部について米アラブ反差別委員会から抗議を受け、その後DVDやサントラCDで差し替えの処置がとられた。

今回の6作品は、差し替えるほどではないが、現代の人権意識と見合っていないため、誤解を与えてしまうかもしれないという意味でメッセージを加える措置ことになったようだ。このように配信で過去作品が現代に広まることが、過去の問題表現を、世界基準と現代の目線で改めて見直すいい機会となっている。

さらにディズニーは、映像だけでなく現実世界でも過去の作品を改める動きに出ている。今年6月ディズニーは、各国のディズニーワールドや、東京ディズニーランドにもある人気ライド「スプラッシュマウンテン」について、モチーフになった1946年の実写+アニメ『南部の唄』から『プリンセスと魔法のキス』(2009)に変更するよう努めることを発表した。
映画『南部の唄』は、公開後からアフリカ系アメリカ人に抗議され続け、1986年以降公開されていない作品である。

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