「使えない弁護士」が珍しくなくなった根本背景 かつては合格率3%、今や3人に1人が受かる構造

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入学者激減の背景にあるのは、実務の現場とロースクール教育のミスマッチだ。

「英語や外国法の教育も結構だが、民法など基本法の判例や条文などの基礎知識がとにかく不足している。事案を見ても、どの条文のどの論点の話なのかがわからない。これでは仕事にならない」。九州の若手弁護士はそう苦言を呈する。

都内の中堅弁護士も、「1500人の合格者のうち1000番台だと、法律も知らないし法解釈もできない若手がザラにいる。ドラマとは異なり、実際の弁護士の仕事は法律上の論点を抽出して文献を調べ立論する地道な作業続きだが、それに耐えられない」と語る。

複数の司法試験予備校で指導する加藤喬氏は「とくに法学未修者コースの学生には、ロースクール修了後でも予備校の入門講座レベルの基礎すら身に付いていない人が少なくない」と話す。

ミスマッチが起きる原因

そうしたミスマッチが起きるのは、ロースクールは司法試験対策と受け取られるようなことを行えないという事情ゆえだ。実際、事案から論点を抽出して論証を展開する答案練習は、起案教育として司法研修所でも行われる法曹養成に欠かせない手法だが、これが試験対策的だとして、従来ロースクールの授業ではタブーとされてきた。

つまり、学生からしたら学費と時間の負担を課される一方、肝心要の司法試験対策はしてくれないわけで、当然不満がたまる。また法律事務所も能力の高い若手を採用したい。両者のニーズがぴたりと一致したのが、2011年から始まった予備試験である。

予備試験とはロースクール修了者と同等の学識などを有するかを、法律科目を中心に短答式・論文式筆記試験、口述試験で判定する試験だ。合格すればロースクールを経ずに司法試験の受験資格を得ることができる。受験資格の制限はなく、その試験形式や内容はどちらかといえば旧司法試験に近い。

「表立って言えないが、法学部生の間ではロースクールに進学するのは、予備試験に落ちた人だとみられている」。予備試験に合格した若手の男性弁護士は語る。「弁護士という職業には魅力があるが、だからといってロースクールに何百万円も払いたくないというのが皆の本音」だという。

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風間 直樹 東洋経済コラムニスト

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かざま なおき / Naoki Kazama

1977年長野県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、法学研究科修了後、2001年東洋経済新報社に入社。電機、金融担当を経て、雇用労働、社会保障問題等を取材。2014年8月から2017年1月まで朝日新聞記者(特別報道部、経済部)。復帰後は『週刊東洋経済』副編集長を経て、2019年10月から調査報道部長、2022年4月から24年7月まで『週刊東洋経済』編集長。著書に『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』(2022年)、『雇用融解』(2007年)、『融解連鎖』(2010年)、電子書籍に『ユニクロ 疲弊する職場』(2013年)など。

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