「使えない弁護士」が珍しくなくなった根本背景

かつては合格率3%、今や3人に1人が受かる構造

弁護士業界は今、激変している(デザイン:藤本 麻衣)

長らく文系資格試験の最高峰だった司法試験が、いま大きな岐路に立たされている。

2000年代初頭の司法試験は受験者数4万人超に対して、合格者数は約1500人。合格率約3%と、名実ともに超難関だった。

だが、直近の2019年では、受験者数約4500人に対し、合格者は同じく約1500人。今や3人に1人が合格する試験へと変貌を遂げている。

『週刊東洋経済』は11月2日発売号で、「激変 弁護士」を特集。文系エリートの頂点に立つ彼らの、仕事とお金のリアルを徹底取材した。

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受験者数の減少、つまり弁護士人気の低迷の要因の1つが、リーマンショック後の若手を中心とした「食えない弁護士」の続出だ。過払い金返還訴訟のバブルが終焉を迎える中で不況が直撃し、新人弁護士の就職難が社会問題化した。

こうした職業イメージの悪化に加え、この間の制度改革によって、実際に弁護士になるまでにかかる費用と時間の負担が増したことも、志願者離れへとつながっている。

2000年代に入り、政府は弁護士の需要が量的に増大、質的に多様化・高度化するとの見通しを示した。これに対応するためには司法試験の合格者を年3000人にする必要があり、新設する法科大学院(ロースクール)がその養成を担うとの方針を打ち出した。

実務家から注文が相次ぐ

2004年にロースクールが開校し、2006年からはその修了を条件とする新司法試験が始まった。弁護士志望者は大卒後、原則3年間(既修者コースは2年)、ロースクールに通うことが必要になった。修了後5年間、受験資格が与えられる。

少人数クラスで手厚い指導を行うとするロースクールの学費(初年度納入金)は、国立大で年間約100万円、私大では約150万~200万円と高額だ。それでも開設初年度に7万人超の志願者を集めたのは、ひとえに、法学未修者が中心であってもロースクールを修了すれば7~8割が合格する試験になるとされたためだ。

だが現実には合格率は2割程度にとどまり、とりわけ拡大が期待された法学未修者や社会人経験者の合格率はさらに低迷。しばらく年間2000人超の合格者数が続いたが、ロースクールの入学者数減は止まらなかった。

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