「品のないクレーム」に悩むゴミ清掃員達の哀愁

「俺らは人目についちゃいけねえ仕事だからよ」

僕は世の中から「〜〜のくせに」という言葉がなくなればいいと思っている。「〜〜のくせに」という言葉がつけば、だいたい腹が立つ。男のくせに? 女のくせに? 子どものくせに? 「〜〜のくせに」という言葉には悪意がついてまわる。大概ヒステリックに飛び出すものだが、場合によっては潜在意識の中に序列が潜んでいることもある。

ある大手新聞社がその昔、「教師からゴミ清掃員まで」という記事を出し、問題になったことがあった。事前に記事をチェックする人が止めなかったことも含めると、より大きな問題のような気もする。「〜〜まで」という言葉がつくと一番下という表現になる。恐らく記者は何の悪意も持っていなかった。だからこそナチュラルに普段から序列をつけていたのかもしれない。

僕は昔から職業に順番はないと思っている。もちろんやりたい仕事としてお笑いが一番やりたいと思う気持ちはあったが、仕事自体の優劣はないと患っていた。なので、ゴミ清掃を始めた頃、年輩の清掃員がこんなことを言うのを、不思議に感じていた。

「俺らは人目についちゃいけねえ仕事だからよ」

卑屈に思っているのか何なのか、理屈がわからなかったが、僕はそんなものですかねえ?と話を合わせた。そう言いながら、心の中では考えすぎなんじゃないかあと思い、自分がゴミ清掃を始める前は、この仕事をどうとらえていたかを思い返した。

芸人だからこそ「違和感」を覚えた

あまりイメージがなかった。そういえば、まじまじ見るのはよくないのではと思って、あまり見ないようにしていた。正確に言うと、臭いなぁという気持ちを顔に出したら悪いので、急いで通り抜けでいた。これだけ生活に密着している仕事なのに、何も知らないというのも不思議なものだ。

そう思い返してみると、見てきた景色がガラリと変わって見えてくる。こんなに大きな車に乗って、堂々と回収しているのに、街ゆく人達と目が合わない。まるで僕がその場にいないかのような錯覚に陥った。自分が透明人間になったかのように思うのは生まれて初めてだった。

年輩の清掃員にそれを話すと、「そうか? それは滝沢君が芸人をやってるからじゃねえ?」と言われ、しばらく考えると合点がいった。人の注目を集めるお笑いをやっているからこそ覚える違和感だった。

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