「品のないクレーム」に悩むゴミ清掃員達の哀愁 「俺らは人目についちゃいけねえ仕事だからよ」

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「ゴミ屋がなんでゴミわかんねえんだよ? ゴミ屋のくせによ! ゴミ屋が俺の時間を使うんじゃねえよ」

山賊と並べて、どちらの気炎の方が優勢か比べてみたいほどだったが、意外とそのときには冷静に観察していた。売り言葉に買い言葉であれば、こちらもヒー卜アップして腹も立つだろうが、出会いざまにマックステンションだと呆気にとられる。こういうとき、僕はどうしても人間の品定めをしてしまう。品格と言ってもいいだろう。感情が振れたときにどういう言葉を使うのかが、その人の根っこのような気がする。

ゴミ清掃員が感じた「職業の序列意識」

山賊とガラガラヘビの言葉から潜んでいる内面意識を読み取った。職業の序列意識だ。

彼らは怒鳴ることで、鬱積したストレスを発散させるが、なるべくならこの清掃員に致命傷を与えたい。自分の思いつくボキャブラリーの中で最も汚い「ゴミ屋」という言葉で罵ろうというのが透けて見えた。

普段、僕らは自分達のことを指すときに「ゴミ屋」と呼ぶが、この職業に就いていない者がそう言う場合には、こちらを踏みにじろうとする意図が見える。

しかしながら、おばあちゃんがゴミを持って「ゴミ屋さーん、待ってー」と言われでも全然腹が立たないから、言い方と文脈ではあることは付け加えておきたい。

罵声ではなくても、序列意識があるとはっきり確信した出来事があった。清掃員を始めて3年ほど経ったある日、老齢の男性が僕らに聞こえるようにこんなことを言っていた。隣に住んでいるだろう老齢の女性にカッコつけている。

「ゴミ屋なんて何回も回ってくるんだから、そこら辺に置いておけよ」

そう言って、老齢の女性から不燃ゴミを奪った。

「回ってこなかったら、来させればいい。俺が電話してやるよ」と、手に持った不燃ゴミをアスファルトに放ったのであった。

その日は粗大ゴミ回収で、僕はたまたま通っただけだったので、担当は不燃ゴミではなかったが、明らかに僕達に聞こえるように言っていた。ゴミを拾わない僕らに不思議そうな顔をしていた。きっとこの老人にとってゴミ清掃業者は全部一緒なんだろう。僕はゾッとした。こういう人が世の中には確かにいる、と思わせるような行為だった。

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