原発処理水、海洋放出で高まる漁業者の懸念 風評被害が深刻に、地元漁業に壊滅的な影響か
「ヒラメ、サワラ、マコカレイ、ホウボウ、コチ、アイナメ……。福島の海は何でも獲れるんだ。それなのに自由に漁ができないんだ」(小野さん)
原発事故からまもなく10年の節目を迎えようとする現在、水揚げ高を本格的に増やしていこうという機運も高まりつつある。
福島県漁業協同組合連合会は9月に、2021年4月から本格操業に移行する方針を取り決めた。本格操業の中身についてはこれから詰めていくが、漁獲高の大幅増が狙いだ。
県漁連に加盟する小名浜機船底曳網漁業協同組合の柳内孝之理事は「そうした矢先にALPS処理水の海洋放出の方針が決められたらマイナス面しかない」と懸念する。
一人前の漁師を育てられない
漁業の継続にも支障が出てくると心配されている。小野さんが所属する相馬双葉漁協が取り決めている試験操業(固定式刺し網漁)は週に2日、網を入れることのできる回数は1日2回に制限されている。原発事故以前には週に6日も漁に出ていた小野さんだが、現在は自由な漁ができない。
漁師になって50年以上の経歴の小野さんには3人の息子がいる。息子たちにも船の操縦や漁の仕方を教えているが、「魚が売れなくなって漁に出られなくなったら、跡を継がせるのも難しくなる。賠償があればいいという話じゃないんだ」(小野さん)。
小名浜機船底曳網漁協の柳内理事は「時期によって漁場も異なる。1年通してフルに操業しないと漁業に関する技術の習得はできず、漁師は一人前にならない」と解説する。
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