本社や原発でコロナ感染、電力会社が重大局面 東電は8人感染、自宅待機や工事中断が相次ぐ

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約200人が自宅待機となった東京電力本社ビル(撮影:今井康一)

新型コロナウイルスの脅威が、電力業界に押し寄せている。

東京電力では4月20日までに、子会社の役員や社員など8人の感染が確認された。

東電では、東京電力パワーグリッド(送配電子会社)の品川支社(東京都品川区)に勤務する40代男性の事務系社員の感染確認(4月7日)を皮切りに、13日および14日には、東京都千代田区の本社ビルで勤務していた東京電力フュエル&パワーの40代男性社員および50代男性役員の感染が立て続けに判明。翌15日には東京電力エナジーパートナー(小売子会社)の新宿カスタマーセンター(東京都新宿区)で顧客対応業務に従事していた40代男性社員の感染が明らかになった。18日には、柏崎刈羽原子力発電所(新潟県刈羽村)で防災業務に従事していた30代男性社員の感染も確認された。

さらに19日には、東電フュエル&パワーで3人目となる60代男性社員の感染が確認されたほか、東電エナジーパートナーの新宿カスタマーセンターでも2人目となる60代男性社員の感染が新たに判明。東電本社ビルでも、東京電力ホールディングスで賠償業務に従事する50代男性の感染確認が明らかになった。本社ビル内で賠償業務に従事する約70人の社員は4月10日から自宅待機(在宅勤務を含む)となっている。

従来の対策では感染封じ込めが困難に

東北電力では、東北電力ネットワーク(送配電子会社)の五所川原電力センター(青森県五所川原市)で4月7日および9日に、それぞれ40代男性および50代男性社員1人の感染が判明。感染した社員との接触があった深浦サービスセンター(青森県深浦町)を含む事務所の閉鎖により、58人の社員が自宅待機を余儀なくされている。

九州電力では、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の構内で、テロなどの緊急事態に備えるための「特定重大事故等対処施設」(以下、テロ対策施設)の建設工事に従事していた大林組社員(50代男性および40代男性)の感染がそれぞれ4月14日および17日に明らかになっている。

電力会社は、新型コロナウイルスの感染拡大に対処するため、特措法に基づく指定公共機関として、電力供給継続の任務を担っている。そのため、国内で新型コロナウイルスの感染が初めて確認された翌月の2月頃から対策本部を設置するなど感染防止対策を順次強化し、本社ビルや発電所への社外関係者の立ち入り制限などの感染防止策を講じてきた。だが、各社で相次ぐ感染者の判明は、従来の対策では感染を封じ込めるのが困難であることを物語っている。

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