日本好きな米国の富裕層が国内旅行で得た視点 コロナ後に向けて観光業はどうすればよいのか

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さらに、ミシュランで評価が高いレストランなどは、地元の農場やパートナー企業を支えるための活動もしている。お手頃な価格のランチを提供することにより仕入れ量を増やしたり、SNSや店舗でも「Too Small to Fail(中小企業の助けをする法案)を支持する」などの発信により、政府と民間の関心を喚起したりしている。

有名なレストランで配られた地域を助けるための募金(抽選あり)の紹介(写真:ミッシェル夫妻提供)

こうした「一体感」が生まれていることに、夫妻は心を動かされ、来年も行きたいと考えているようだ。

以前の記事でアメリカでは赤の他人にも投資するエンジェル投資家が多い理由に、「奉仕」「助け合う」などの宗教上のバックグラウンドがあると分析したが、今回の富裕層夫婦の旅行にも、実は同様の理由があるとも考えられる。

国や地域の取り組みを積極的に発信

また、中国の富裕層でも、日本に来たくても来られない多くの富裕層が、ミッシェル夫妻と同様に国内旅行を楽しんでいる。それに伴い、中国国内の観光資源(高級感があり、さまざまなニーズに合うホテル、観光スポット)のレベルアップも急速に進んでいるようだ。

各国で自国内での旅行が進む中、Withコロナ時代の日本の観光産業は、どうすればいいのか。観光に詳しい三菱総合研究所の観光立国実現支援チームリーダーの宮崎俊哉氏は「今こそ日本観光産業の新陳代謝のタイミングだ」と主張する。

例えば、日本でも地域やサプライヤーを巻き込んだ対策と発信を強化する必要がある。星野リゾートグループが提案しているマイクロツーリズム(3密を避けながら近場で過ごす旅のスタイル)や、ホームページで自社施設内のコロナ対策を紹介している事例、コロナで困った農家や生産者の商品を個人向けに販売するサイトの事例はあるが、国や地域、そして業界全体の取り組み施策を発信している事例はまだまだ少ない。

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