日本好きな米国の富裕層が国内旅行で得た視点 コロナ後に向けて観光業はどうすればよいのか
2つ目は、店や地域全体が徹底した安全対策を行い、サービス内容も積極的に発信している点だ。
カリフォルニアのレストランやホテルは、予約の際、必ず安全対策のリンクを送ってくる。カリフォルニア州政府やCDCが策定したガイドラインに沿って、従業員のモニタリング、施設の消毒、テーブル設置の距離などがこまごま書かれており、実際に食事をする際に、さまざまな面で対応しているのがわかったため、夫妻は安心することができたという。
また、コース料理と一緒に予約したワインのリストも事前に電子メールで送られてくるので、メニューに接触する感染リスクも減る。支払いも、予約するときに登録したカードで行い、レシートは紙ではなく電子版でもらうことができる。
食事中は、店員はマスクと手袋はもちろん、記念写真でさえ、客のスマホを使わず、店員のスマホで撮ってエアドロップ(WiーFiなどを介したコンテンツ共有機能)してシェアをするそうだ。もちろん、客はテーブルにいるとき以外は必ずマスクを着用しなければならない。
レストラン、宿泊先も感染対策を徹底
宿泊先も同様だ。夫妻は国際的な高級チェーンに泊まったが、入り口のドアを触れるときに使うティッシュと消毒液も常備されていたという。またバレーパーキング(駐車を係員にまかせるサービス)がなくなったり、部屋の掃除回数を減らす、次の客が泊まるときには24~27時間空けた部屋を使う、室内ではHEPAフィルター(高性能エアフィルター)の空気清浄機を設置することが徹底されている。
「ここまで対応してくれるなら、旅行に行ってもいいと思った。思ったよりすごくきちんと対応してくれたので、安心したし見直したわ」とミッシェルは口にする。
さらに、夫妻は、街一体となって支え合う「イミ消費」にも感動したそうだ。イミ消費というのは、モノ・コト消費を超え、自分の消費行動によって世の中に役立つと思うことができる消費を指す。夫妻はナパバレーが、街一丸となって、万全を期して観光客を迎えようとしており、地域全体が支え合っていると感じたそうだ。
例えば、安全対策では、高級なレストランや宿泊先だけではなく、普通のレストランやワイナリーでも同じように対策を徹底。厳格なソーシャルディスタンス、検温、(万一の場合の追跡のための)住所と連絡先の記入なども観光客に求めている。
観光客も必ずマスクを着用するようにしているため、以前に比べると不便なところがあるが、新しい情勢において、現地の人も観光客も乗り越えようとしている「好循環」が生まれ、お互いに安心して過ごすことができる。
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