なぜ2度あることは3度あると思ってしまうのか 「Brexit×トランプ当選×再選」を信じる構造

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競馬である。

25日の日曜日は、菊花賞(G1、京都競馬場、距離3000メートル、第11R)。3歳牡馬の3冠レースの最終関門である。そして今年は無敗の2冠馬コントレイルが登場し、シンボリルドルフ、ディープインパクトに続く、3頭目の「無敗の3冠馬」を目指す。

先週(18日の秋華賞)のデアリングタクトは「無敗の3冠牝馬」となり、こちらは史上初。競馬界は、2週連続の無敗の3冠馬達成はすでに確定したかのようなお祭り騒ぎで、すでに11月29日のジャパンカップや12月27日の有馬記念がどのようなメンバーになるかを議論しているし、元騎手で予想も抜群の的中率を誇る安藤勝己氏も「デアリングタクトよりも固い」と太鼓判だ。

日本の競馬ではなぜ無理筋の馬主や調教師がいるのか?

しかし、である。トランプ氏の波乱を予想する専門家たち以上に、狂っているとしか思えない馬主や調教師たちがいる。菊花賞へのエントリーはフルゲートの18頭を上回り、獲得賞金の少ない馬は抽選に勝っての出場となった。なぜ勝てないレースに参戦しようとするのか。他の勝てるレースに回るのが普通なのに、なぜこんなことになっているのか。

理由は2つ。日本人が情緒的であることと、JRAの深慮遠謀だ。

まず、日本人は競馬がもっとも経済合理性が最優先される産業だということを理解していない。菊花賞に自分の馬が出ると嬉しい。勝つ可能性ゼロのレースに出走登録料を払い、厩舎も騎手もカネにならないレースに、わりと強い馬(菊花賞に出られるということは、上のクラスに所属する強い馬たちで、レースを選べば必ず勝てるのだ)を出すのに、文句も言わずに付き合うのである。要は「夢を見たい」ということである。

実際、日本の競馬産業が、世界的な競馬不況にも関わらず、活況なのは、この日本人の情緒性を利用した「1口馬主制度」が1つの理由である。そもそも私もかんべえ氏も、もう1人の連載者である経済評論家の山崎元氏もこれを楽しんでいるし、この連載の編集者もやはり所有している。

馬を持って、自分の馬を応援するのは、馬券を買って「当たれー」と叫ぶのとは違う喜び、遥かに深い喜びが(そして哀しみが)あるのである。
世界的には、欧州貴族の経済的没落から馬主不足気味であり、欧州競馬は、アラブの石油王一族でもっているようなものだ。だが、日本は別世界。1口馬主が活況で、これにより馬主不足などはなく、世界一高いレベルの馬が集まるようになっている。

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